債務整理の費用が払えないケースは、債務整理後に返済が難しくなる場合と弁護士への支払いなどの費用が払えない場合の2パターンあります。
債務整理費用の支払いには様々な方法があり、基本的に債務整理費用を支払えなくなるということはありません。
債務整理費用が心配な場合に、どのように対処すれば良いのか、対処法のポイントなどを詳しく紹介します。
債務整理には、大きく分けて任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4つがあります。
中でも任意整理において、費用が支払えないというケースが多く見られるのが特徴です。
任意整理とは、借金の支払い方法などを見直すことで債務整理を行います。
任意整理の支払いは通常での支払いと、長期の分割での支払いの2つです。
通常での支払いの場合には、あまり問題はありませんが、長期の分割払いの場合には支払いが困難になることがあります。
長期返済は毎月の支払額をおさえることができるのがメリットですが、返済中に支払い能力が低下した場合に支払えなくなるという点がデメリットです。
長い人生の中で収入が減ったり、収入源自体がなくなったりすることは多々あります。
例えば会社の処遇によって給料が減ったり、定年退職を迎えたり、病気などで働くことができなくなったりなどです。
返済を滞納してしまった場合には、その滞納期間によって対応が異なります。
1ヶ月程度の一時的な返済滞納の場合には、和解契約を無効にせずに済みますので、できるだけすみやかに返済することがおすすめです。
しかし、滞納期間が2ヶ月分になってしまうと、一括請求の可能性がありますので注意しましょう。
また2ヶ月に渡って滞納してしまうと、弁護士や司法書士の費用も支払えないことがほとんどです。
弁護士や司法書士の費用を支払えないと、辞任されてしまう可能性もあります。
任意整理後に、支払いを滞納すると和解契約が無効になってしまうケースがあります。
2ヶ月分、つまり2回の滞納で無効になる可能性があるので、2ヶ月がボーダーラインだということを覚えておきましょう。
和解契約が無効になると残額を一括請求されてしまいます。
具体的な例で説明すると、一括請求をされた時点で残額が100万円あれば、その100万円を請求されるのが特徴です。
すでに支払いが滞納している状態で一括請求されても支払い能力がないことは債権者も理解しています。
そのため債権者は一括請求できないことを見越した上で、残額の100万円に対して利息(遅延損害金)を加えて返済を求めてくる場合もあるので十分な注意が必要です。
一括請求の可能性が考えられる場合には、とにかく早めに法律の専門家である弁護士や司法書士に相談しましょう。
弁護士や司法書士は心強い味方ですが、費用の支払いができないと辞任してしまう可能性があります。
弁護士や司法書士が辞任してしまったとしても、そのまま借金の返済を継続していくことは可能です。
ただし、今まで債務者と債権者の間に入ってくれていた弁護士や司法書士がいなくなることで、様々なデメリットが発生することも考えられます。
デメリットのひとつとしてあげられるのが、訴訟の手続きです。
債権者から訴訟された場合には訴訟に関する手続きを自分でしなくてはいけません。
万が一、弁護士や司法書士の費用を支払えない場合には、支払いができないことを放置せずに、すみやかに相談することが重要です。
返済ができないときの対処法には、様々な方法があります。
支払いが滞った期間や理由、現状などによって対処法が異なりますので、それぞれの状況に応じて対応することが必要です。
返済が不可能になり、支払えなくなることはありませんので落ち着いて対処しましょう。
任意整理の場合、未払いの期間が2ヶ月分(2回分)で期限の利益が喪失してしまい、一括請求されることになります。
そのため、まずは2ヶ月分の未払いを回避することが重要です。
未払いの期間が1ヶ月(1回分)であれば、一括請求にはなりません。
未払いが1ヶ月(1回分)から2ヶ月分(2回分)になってしまう前に対策をしましょう。
具体的には、以前通りの支払いに追いつく方法を検討します。
一時的な未払いの場合には、すぐに元どおりの支払いができるように追いつき、未払いを解消するのがベストです。
その他の方法としては、次回の支払で2回分支払ったり、2回分が無理な場合でも次回の支払いで1.5回分を支払ったりなどがあります。
とにかく未払い分が2か月分になる前に早めの対処を行うことがポイントです。
どうしても未払金が2ヶ月分になってしまった場合には、一括請求され残額に対しての遅延損害金が発生することになります。
一度未払金が2ヶ月分になってしまうと、たとえその次の回に2ヶ月(2回分)を払っても分割請求に戻すことはできません。
せっかく分割での請求になったのに、振り出しに戻ることになります。
未払いによって期限を喪失した後に、再び分割払いに戻したい場合には、もう一度任意整理と和解を行うことが必要です。
この場合、再和解となり、一度返済の約束を破っていることになるため、最初の和解条件よりも厳しい条件となるケースが多くなります。
再度に渡る和解では、和解条件が悪化することが予想されます。
支払い期間が短くなったり、1回の未払いで即一括請求されたりという条件に変わってしまう可能性も十分にあります。
そのため再和解によって、条件が厳しくなり再び未払いの状態になるケースも多いのが特徴です。
再和解によって、また支払いが困難な状態になったときには、追加介入の対応を検討しましょう。
追加介入とは、弁護士や司法書士が任意整理を行う会社を増やすことです。
追加介入を行うことで、毎月の収入を増やす可能性があります。
ただし追加介入するためには、最初の任意整理で除外していた債権者がある場合に限られますので注意してください。
また債権者本人が追加介入できない場合でも、追加介入できる方法がありますので弁護士や司法書士に相談しましょう。
例えば家族に債務がある場合には、追加介入できる可能性がありますので検討してみるのがおすすめです。
債務整理の費用が払えない様々なケースに対して対処法などを紹介してきましたが、これら全部の方法が厳しいという状況もあります。
今まで紹介した対処法で困難な場合には、自己破産か個人再生で対応することが必要です。
自己破産とは、最終手段のひとつになります。
自己破産を行うと、すべての借金の返済が免除されるという点が大きなメリットです。
任意整理で合意を得た借金も免除されます。
ただし、自己破産では家や車といった全財産を処分し、そのお金を債権者に分配することが必要です。
つまり自己破産のデメリットは、価値のある財産を、すべて処分することにあります。
これに対して個人再生は、借金自体を減額します。
任意整理は借金の利息を減額・免除することを目的としていますが、個人再生を活用すれば借金そのものを減らすことが可能です。
借金が減ることで返済が可能になったり、返済期間が短縮されることがメリットになります。
ただし個人再生を行うためには、安定した一定以上の継続した収入が必要です。
定職につかずアルバイトなどの場合には適用されません。
自己破産と個人再生は共にブラックリストにのる、官報に氏名などの個人情報が掲載されるという共通のデメリットがあります。
借金があることなどが周囲に知られてしまう可能性があるので、その点も留意しましょう。
債務の返済で手いっぱいで、債務整理の弁護士費用が払えない場合も多くあります。
しかし様々な制度を活用すれば、弁護士費用を安くすますことも可能です。
支払いの負担を減らすためにも、弁護士費用のコツもおさえておきましょう。
任意整理の場合の弁護士費用は、着手金と報酬金の相場が1社につき20,000円~50,000円ほどが相場になります。
これに減額報酬として借金から減額した10%分が加わります。
着手金と報酬金は債権者1社ごとにかかる費用のため、債権者の数が多い場合には高額になる可能性がありますので注意してください。
減額報酬は成功報酬のため変化はありません。
個人再生の場合の弁護士費用は、報酬金・収入印紙代・官報掲載費・郵便切手代・個人再生委員会への報酬・着手金などが必要です。
報酬金は300,000円~600,000円、収入印紙代が10,000円、官報掲載費が11,928円、郵便切手代が1,600円、個人再生委員会への報酬が150,000円~200,000円が、それぞれの相場となっています。
個人再生の場合は、裁判所を通すことになるので着手金が高額になるのが特色です。
自己破産の場合の弁護士費用は、報酬金・収入印紙代・予納郵券代・裁判所予納金・着手金があります。
それぞれの費用の相場は、報酬金は200,000円~600,000円、収入印紙代が1,500円、予納郵券代4000円です。
自己破産の場合も個人再生と同様に裁判所を通すため着手金が高額になる傾向があります。
自己破産の予納金に関しては、資産がない人がおこなう同時廃止の場合には10,000円~17,000円、資産がある人がおこなう管財事件は13,000円~17,000円で費用が異なるのがポイントです。
債務整理の依頼中には、借金の支払いが一時的に止まるのが大きな特徴です。
債務整理の依頼を受けた司法書士や弁護士は、債権者に受託通知を送付します。
その受託通知を受け取った債権者は、借金の取り立てを止めなければなりません。
返済が一時止まるので、その分を弁護士費用などに当てることが可能です。
債務整理の手続きの期間は短くありませんので、その間に費用の工面ができます。
弁護士費用をおさえるためには、着手金がかからない弁護士事務所を選ぶ方法もあります。
着手金は弁護士や司法書士に依頼した時点で支払う必要がある費用です。
成功報酬ではないので、たとえ交渉などが不成功の場合でも着手金は返金されません。
依頼時に用意しなくてはいけない費用のため、着手金がないために相談することができないといったケースも見られます。
そのため着手金無料の弁護士や司法書士も増えています。
ただし着手金が無料のかわりに、成功報酬が高額に設定されている場合も多いので十分注意しましょう。
弁護士費用の負担を軽減するために、分割払いが可能な弁護士事務所や司法書士事務所を利用するのもおすすめです。
広告やWebサイトに分割払いや後払いが可能と記載されていない場合もありますが、その場合でも相談してみましょう。
交渉次第では対応してもらえる可能性がありますので、まずは問い合わせてみるのがベストです。
弁護士費用のために、過払い金を活用する方法もあります。
過払い金があった場合には、弁護士費用にあてることが可能ですので確認しましょう。
過払い金があるかどうかは、まず現在も借金の支払いを行っているかどうかです。
現在も借金の返済があり、貸金業者との取引が2006年以降という場合には、過払い金の可能性が発生します。
これらの条件に該当する場合には、過払い金があるのかチェックしてください。
債務整理は弁護士または司法書士に依頼します。
弁護士は法律の専門家であり、司法書士は登記や供託を取り扱う資格です。
弁護士は法律に関するすべてのことを業務として取り扱えますが、司法書士には取り扱える分野などに制限があります。
一般的に司法書士は弁護士よりも依頼料が低額で、中には無料の事務所も多いです。
ただし司法書士が債務整理を代行する場合には、条件がありますので注意してください。
司法書士が扱える債務整理は1件あたり140万円以下です。
140万円を超える場合には債務整理の代行を行うことができません。
また裁判の代理人にもなれませんし、裁判所への提出書類の作成なども行えませんので注意しましょう。
法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を活用する方法も検討しましょう。
民事法律扶助制度は、簡単に言うと弁護士費用を立て替えてくれる制度です。
民事法律扶助制度で立て替えた弁護士費用は、月々の分割払いで完済する必要があります。
基本的に月々5,000円の分割払いなので、費用の負担を減らすことが可能です。
生活保護者を除いて裁判所費用は支払うことが必要になります。
債務整理を依頼する場合、費用だけに注目して依頼先を決定すると失敗することがありますので注意が必要です。
弁護士事務所や司法書士事務所には得意な分野があるので、債務整理を専門している、もしくは得意としている事務所を選びましょう。
また債務整理に関わる費用の総額が明確であり、事務所へのアクセスがしやすいところがおすすめです。