月々の借金支払いが大変だけど自己破産は避けたいという人におすすめなのが、任意整理です。
任意整理を行えば、金利の引き直し計算や金利カットをすることができ、月々の支払いが減額されます。
しかし、任意整理は弁護士や司法書士に依頼しなければならないので、費用が心配と悩んでいる人もいるでしょう。
でも、任意整理の費用は後払いすることもできます。
今回は任意整理の流れや費用の支払い方法などを紹介しましょう。
任意整理とは、弁護士や司法書士が依頼者の代理となって貸金業者などの債権者と交渉し、借金の将来金利のカットや長期分割弁済などの和解を成立させる手続きのことです。
任意整理を行えば月々の支払額が減額されるので、生活が借金に圧迫されることもなくなるでしょう。
無理のない範囲で借金を返済し続けることも可能になります。
さらに、任意整理を行えば債権者からの支払いの催促が止まり、財産を維持しながらの借金返済もできるようになるでしょう。
また、弁護士が代理人となって債権者に直接交渉することで、債務者の負担が少なく、手続きをスムーズに行うことができます。
ただし、任意整理は誰でもどんな借金でも行えるわけではありません。
任意整理の一般的な方法は、まず債務(借金)の取引開始時まで遡り、利息制限法の上限金利に金利を引き下げて再計算(引き直し計算)をして借金を減額します。
その上で、金利をカットして元本のみを3年程度の分割で返済することを債権者に提案し、それが受け入れられれば和解成立です。
ですから、債務者に継続した収入があり、3年程度で減額した借金を返済できる見込みがなければ債権者が和解に応じないこともあるでしょう。
また、取引期間が短い借金も任意整理ができないこともあります。
その一方で、引き直し計算をした結果、借金が完済できたばかりでなく過払い金が戻ってくるケースもあるのです。
グレーゾーン金利で借り入れを行っている人は任意整理をすれば借金を大幅に減額することができるかもしれません。
任意整理のメリットは理解できたが、代理人の選定から以来までどのように行っていいか分からない、と悩む人も多いことでしょう。
でも、任意整理の流れを理解すれば、決して難しいことはありません。
次項から任意整理の流れを詳しく解説していきます。
ぜひ、参考にしてください。
任意整理を希望する人は、まず任意整理を請け負う弁護士を探し、事前相談を行います。
事前相談とは、弁護士と正式に契約する前に行う相談のことです。
「初回の相談に限り30分無料」という弁護士事務所もあれば、初回から相談料が発生する弁護士事務所もあるので、事前に確認しておきましょう。
事前相談は長引くほど費用がかさむので、相談はできるだけ効率的に行うことが大切です。
弁護士事務所に事前相談に行く前には、最低でも「借金の総額」と「どこから借り入れたのか」をすべて明らかにしておきましょう。
貸金業者によって、すぐに和解に応じるところと和解を渋るところがあるためです。
また、借金の総額が分かれば減額できる金額もすぐに計算することができます。
事前相談を行った結果弁護士に依頼することを決めた場合、すぐに委任契約を行います。
事前相談の場で契約することも珍しくないので、事前相談に行く際は印鑑と免許証など身分を証明できるものを持参しましょう。
委任契約を結べば、任意整理の手続きを弁護士が代理人となって進めることが決定されます。
この際、着手金が発生することもあるので、費用などを事前相談に行く前に確認しておくことがおすすめです。
契約をすれば依頼者はこれ以後何もすることはありません。
次項から解説する項目はすべて弁護士が行います。
代理人となった弁護士は、貸金業者などの債権者に「依頼者と代理人となって任意整理を行う」という内容の通知を送ります。
これを「受任通知」といい、これが送られた時点で債務者は依頼者に借金の督促が不可能になるので、借金を返済する必要がなくなるのです。
ただし、受任通知が債務者の手元に届くまでには時間がかかります。
それまでに借金の返済が行われないように、依頼者は口座の残高を0にするなど手続きをしてください。
弁護士から「こんな手続きをしてください」と指示されることもあるでしょう。
受任通知を送付したら、弁護士は債権者に取引履歴の開示請求を行い、借金残高の調査を行います。
この時に利息制限法を超えた金利で貸し付けがあるかどうかの確認も行い、違法金利での貸し付けがあった場合は金利の引き直し計算を行うのです。
利息制限法では上限金利が15%~20%なので、それを超える金利だった場合は違法の可能性が高いでしょう。
この他、支払いが滞って5年以上が経ち、時効が成立している借金の有無、過払い金が発生している借金の有無なども確認します。
こうして計算した借金残高を貸金業者などの債権者に提示するところから和解交渉がはじまるのです。
借金残高が確定したら弁護士はそれを債権者に提示すると共に、債務者の経済状況を考えて無理のない返済プランを設計します。
その後、弁護士は債務者と一度話し合いを持ち、債務者が返済プランを了承すれば債権者に返済プランを提示し和解交渉を行うのです。
弁護士は、債権者と債務者両方の希望をすりあわせ、全員が納得できるような決着方法を考えます。
任意整理が認められたら、借金は減額されて一括返済か分割返済で債務者が返済していくことになります。
任意整理の方法に債務者と債権者の双方が納得すれば、和解成立です。
和解が成立したら、弁護士は「和解契約書」という書類を作成します。
和解契約を書面にすることで法的能力を持たせるのです。
和解契約書には債務総額や支払い方法、返済が滞った時に和解契約が失効する期限(期限の利益喪失)などを記載し、双方が署名と捺印を行います。
和解交渉の開始から和解成立までかかる期間は2~6か月が平均です。
ただし、必ずしも和解交渉が成立するとは限りません。
債権者が和解交渉に応じない場合などには、弁護士が依頼者に自己破産や個人再生など、別の方法をすすめることもあるでしょう。
和解が成立した場合、依頼者である債務者は弁護士に報酬を支払い、その後貸金業者などの債権者へ借金の支払いを開始します。
前項まで任意整理の流れを説明しましたが、これを読んで「費用がどのくらいかかるのか」と気になった人もいるでしょう。
任意整理にかかる費用の内訳は、事前相談料、着手金、和解が成立した時の弁護士への報酬などです。
次項から任意整理にかかる具体的な費用を詳しく解説していきます。
任意整理を弁護士に依頼する前に行う事前相談には、30分あたり5,000円程度の費用がかかります。
現在は「初回の相談に限り30分無料」という弁護士事務所も増えてきましたが、30分で相談を終えることは難しいでしょう。
任意整理の事前相談には平均して1時間程度かかります。
ですから、事前相談料の目安は1万円程度と見ておくといいでしょう。
着手金とは債務者が弁護士を代理人にすることを依頼し、それを弁護士が受任する契約が結ばれた時に発生する費用です。
着手金の金額は弁護士事務所や司法書士事務所によって異なりますが、債権者1社あたり2万円~5万円が相場です。
つまり、債権者が3社あった場合、着手金は6万円~15万円前後になります。
着手金は、「貸金業者との和解交渉開始前まで」を支払いの期限と定めている事務所が多いでしょう。
ですから、弁護士が債権者に「受任通知」を送付した後、借金返済に支払っていたお金を着手金に流用することもできます。
なお、着手金は依頼者が弁護士との契約をキャンセルしても返還されません。
解決報酬とは、任意整理が成功して借金が減額できた場合に弁護士へ支払うお金です。
解決報酬は債権者1社ごとに支払うので、債権者の数によって金額が変わってきますが、原則として1社あたり2万円以下と定められています。
ですから、「2万×債権者の数」として見積もっておくといいでしょう。
なお、弁護士事務所によっては着手金を無料とする代わりに解決報酬を高めに設定していることもあります。
ですから、事前相談を行う前に事務所の料金プランを確認しておきましょう。
メールや電話で問い合わせても教えてもらえます。
減額報酬とは、債務整理が成功した時に、借金の減額分に対して歩合で発生する報酬のことです。
上限が10%と定められているので、減額分の10%を減額報酬として定めている弁護士事務所が多いでしょう。
一例をあげると、200万円の借金が100万円まで減額された場合、減額分の100万円のうち、10%に当たる10万円を減額報酬として代理人である弁護士に支払います。
なお、弁護士事務所によっては減額報酬が不要というところもあるので、事前に確認しておきましょう。
過去に法定金利を超えた利息を支払い続けていた場合、過払い請求を行うことができます。
この請求が認められれば、過払い金で借金を完済したり減額したりすることができるでしょう。
過払い金報酬とは、過払い金請求が成功した際に弁護士へ払う減額報酬のことです。
取り戻せた過払い金額に対する20〜25%が目安ですが、弁護士事務所によって支払う額は変わります。
また、訴訟の有無によっても過払い金報酬は変化するので、事前に確認しておくことが大切です。
任意整理を行いたいが、着手金をはじめとする弁護士費用を事前に用意できないこともあるでしょう。
しかし、費用の支払いに対し柔軟な対応をしてくれる弁護士事務所もたくさんあります。
次項から、任意整理にかかる費用の支払い方法の選択肢について詳しく解説していきましょう。
任意整理を希望する人は、お金に余裕がないケースが多いでしょう。
そのため、多くの弁護士事務所が任意整理にかかる費用の捻出が難しいという背景に理解があり、債務整理にかかる費用を分割払いや後払いで支払うことができるような仕組みを作っているところがたくさんあります。
分割払いを利用すれば、生活に支障がない範囲で任意整理にかかった費用を払っていくことができるでしょう。
分割払いは6~12回払いが相場ですが、弁護士事務所によっては融通を利かせてくれるので、一度相談してみてください。
ただし、着手金に関しては、支払いをしなければ和解交渉を開始しない弁護士事務所もあるので、そこは事前の確認が必要です。
後払いや分割払いを利用したいが、金利や手数料が余計にかかるのではないかと心配する人もいるでしょう。
でも、基本的に基本的に弁護士事務所に支払う費用に金利や手数料が発生することはほとんどありません。
任意整理を請け負う弁護士や司法書士は、債務者の借金完済のために債務整理の手続きを行うので、法外な手数料を取ることはないと考えていいでしょう。
弁護士や司法書士などもビジネスですから、完全に無料で手続きを行ってくれることはありません。
しかし債務者に支払う意思があり、継続した収入がある場合は柔軟に対応してくれます。
任意整理を依頼できる弁護士事務所や司法書士事務所はたくさんありますが、金額のみで依頼先を決めず、支払いなどに関してきめ細かい対応をしてくれるかどうかを判断基準にしたほうがいいでしょう。
そのため、目についた弁護士事務所にいきなり依頼するのではなく、複数の弁護士事務所を比較するなど、よく考えることが大切です。
今回は、任意整理の流れや任意整理にかかる費用の支払い方法を紹介しました。
任意整理は弁護士や司法書士に代理人を依頼しなければならないため、ハードルが高そうに感じられます。
しかし、任意整理を行えば借金の支払いが楽になるケースも多いでしょう。
また、過払い金が返ってくる可能性もあります。
借金を無事に返済する方法の1つとして選択肢に入れてみてください。