マイホーム購入のために住宅ローンを組む方は多いですが、債務整理後だから審査に通るか不安と考える方もいるのではないでしょうか。
確かに債務整理は住宅ローンの審査に影響を与える要素の一つなので、審査に通るにはしっかりと準備をする必要があります。
そこで今回は債務整理後のマイホーム購入で、住宅ローン審査に通るためのポイントについて説明していきます。
住宅ローンの審査では、具体的にどのようなポイントをチェックされるのでしょうか。
まず審査されるのが社会的・経済的に安定しているかどうかです。
住宅ローンでは金融機関からの高額融資を長期間で返済していくことになるので、収入が少なかったり不安定だったりすると審査に通りづらいです。
そのため金融機関は申し込んだ人の年収はもちろん、勤め先も審査します。
こうした事情があるので公務員や大手企業に勤めている方は審査に通りやすいと言われているのです。
また住宅ローンの審査では信用情報機関の金融事故記録(ブラックリスト)を通して債務整理の有無もチェックされます。
住宅ローンの審査で債務整理の有無がチェックされるのは、債務整理がマイホーム購入の妨げになると金融機関側に思われているからです。
なぜ金融機関は、そのように考えているのでしょうか。
ここでは債務整理がマイホーム購入の妨げになる理由についてご説明します。
債務整理とは借金を減額したり、返済期間に猶予を持たせたりすることで、返済に苦しむ生活から解放されるための手続のことです。
つまり債務整理を行うと払い切れない借金を抱えた過去や、借金を減額した事実を記録に残ってしまいます。
住宅ローンの審査では社会的・経済的な安定性が重視されます。
そのため債務整理の記録があると、ローンの支払い能力に疑問を持たれやすくなるのです。
「債務整理をしても金融機関に申告しなければいいのでは」と考える人もいるかもしれません。
しかし債務整理の事実は信用情報機関に金融事故として記録が残るので、申込者が申告しなくても審査の段階で金融機関はその事実を把握しているのです。
債務整理には任意整理、個人再生などいくつかの種類があります。
そして種類によって借金が減額される割合、金融事故として記録が残る期間が違います。
例えば借金が減額される割合が小さい任意整理は記録が残る期間が5~7年ですが、借金が全額免除される自己破産は7~10年も記録に残るのです。
また金融事故の記録は自分自身で確認することも可能です。
債務整理を行うと金融事故として記録が残りますが、一定期間経てば記録は抹消されます。
ですからマイホーム購入前に債務整理の記録が残っているかどうか確認することも大切です。
記録を確認するには、信用情報機関に開示請求をする必要があります。
ここでは具体的な請求方法についてご説明します。
債務整理の記録をはじめとした金融事故の記録を管理しているのが信用情報機関です。
この信用情報機関にはCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターの3つがあります。
CICはクレジットカードや信販、JICCは消費者金融、全国銀行個人信用情報センターは銀行が主に加盟していて、加盟している金融機関が登録した借り入れや支払い状況の記録を管理しています。
具体的な開示請求についてですが、CICの場合はインターネット、郵送、窓口の3種類の請求方法があります。
インターネットの開示請求はその場ですぐに信用情報を確認できるのが特徴です。
CICが指定するクレジットカードに登録している電話番号から電話をかけて受付番号を取得、スマホやPCから受付番号を個人情報とともに入力すると開示報告書が表示されます。
JICCもスマートフォンから開示請求が可能です。
まず専用アプリをダウンロードし、パスワードや氏名や生年月日などの個人情報、本人確認書類の画像データを送信します。
その後、開示手数料を支払うと郵送で開示報告書が届きます。
全国銀行個人信用情報センターの開示請求の方法は郵送のみです。
登録情報開示申込書、手数料、本人確認書類2種類を郵送すると開示報告書が届きます。
債務整理後に住宅ローンの審査に通りマイホームを購入するのは至難の技です、どのような点に気をつければ住宅ローンの審査に通るのでしょうか。
ここでは債務整理後にマイホームを手に入れるためのポイントを説明していきます。
信用情報機関に債務整理などの事故情報が記録されている間は、住宅ローンの審査に通るのは難しいです。
何度もローンの審査に落ちていると金融機関の心象が悪くなるので、一か八かで申し込むのは避けるのが懸命でしょう。
そのため開示請求をして事故情報が削除されたかを確認しつつ、時期を見て審査に申し込むのがポイントとなります。
また事故情報に記録されるのは債務整理だけではありません。
公共料金や携帯電話料金、家賃の滞納も事故情報に記録されます。
債務整理の事故情報が消去されるまでの間、新たな事故情報を残さない様に気をつけることもポイントです。
住宅ローンの審査では返済負担率もチェックされます。
返済負担率とは年収に占める住宅ローンの返済額の割合のことで、返済負担率の割合が低い方が審査に通りやすくなります。
自己資金を貯めておけば購入したい物件の、ローンで借りる額を抑えることが可能です。
住宅ローンの金額が減れば返済負担率の割合も下がるので、審査に有利に働きます。
物件価格の25〜35%を自己資金で準備できれば理想的です。
収入に見合わない無理のある返済プランを提示してしまうと、金融機関からの心象は悪くなります。
金融機関の信頼を勝ち取り、住宅ローンの審査に通るためには無理のない返済プランを示すことが大切です。
適切な返済プランを立てるには現在の年収、物件や頭金の金額、毎月可能な返済額などを考慮する必要があります。
金融機関が納得する返済プランがたてられれば、審査に通る可能性が高くなります。
住宅ローンは大きく分けると「公的融資」「民間融資」「フラット35」の3つに分類されます。
3つのローンにはそれぞれ異なるメリットがありますが、債務整理後でも比較的借りやすいのがフラット35です。
フラット35は住宅金融支援機構と民間の金融機関が共同で提供している住宅ローンで、公的融資と民間融資の間に位置づけられています。
フラット35の特徴は全期間固定金利型であることです。
借入時に返済額も確定するので返済計画が立てやすくなり、債務整理後でも審査に通りやすくなります。
またフラット35は自営業やフリーランスの人でも借りやすいのが特徴、民間の住宅ローン審査に落ちた人でもフラット35なら通る可能性があります。
任意整理を行った場合に、信用情報機関に金融事故として記録が残るのは本人のみです。
配偶者や子どもなど家族に影響は与えません。
ですから債務整理をしていない配偶者や子どもの名義で、住宅ローンに申し込むというのもひとつの手です。
ただし配偶者や子どもが債務整理をした借金の保証人になっていた場合、保証人にも責任が及ぶので注意しましょう。
また住宅ローンに申し込んだ際は年収や職業も審査されるので、専業主婦やパート勤めをしている人を名義人に据えるのは難しいです。
債務整理の対象となった金融機関から新たな借り入れをするのは困難です。
債務整理は金融機関に少なからず損害を与えているので、金融機関側からすると二度の被害は避けたいと考えるためです。
金融機関は、信用情報機関とは別に独自の事故記録を作成しています。
それらの記録は同系列や提携先の金融機関どうしで共有されている可能性が高いです。
つまり債務整理の対象となった金融機関だけでなく、その提携先の金融機関からの借り入れも避けたほうが良いでしょう。
ローンを申し込む金融機関を選ぶなら借り入れの経験がなく、返済遅延などのトラブルもない金融機関を選ぶのが望ましいです。
金融機関は金融事故の有無だけでローンの審査を決めている訳ではありません。
債務整理後に住宅ローンを組み、マイホームを購入するなら金融事故の情報以外にも注意したいことがあります。
ここでは金融事故の情報以外で注意すべきポイントについてご紹介します。
住宅ローンの審査では年齢も重要なチェック項目です。
年齢が若すぎると収入の安定性の面から、審査で不利に働く可能性があります。
一方で年齢が高すぎることも、死亡によって返済を受けられなくなるリスクがあるので不利に働きます。
事故記録から債務整理の記録が抹消されるまで10年近くかかるので、事故記録が消えるのを待ってから審査に申し込んでも年齢が高すぎてローンの審査に落ちる可能性があるのです。
住宅ローンの審査ではチェックされる勤続年数、この勤続年数が短いと審査に通りにくいのです。
これは勤続年数が短いと収入の安定性が低い、今後の収入アップの見込みが判断できないと思われるからです。
逆に勤続年数が長いと昇給などによる給料アップ、収入の安定性を評価され審査に通りやすくなります。
転職したばかりの人は住宅ローン審査に落ちやすいのは、勤続年数が重要視される影響です。
ですから住宅ローンに申し込む時期の前後で転職を考えている場合、転職前に住宅ローンの審査を受けたほうがいいでしょう。
ほとんどの金融機関が住宅ローンの契約時、団体信用生命保険への加入を義務付けています。
団体信用生命保険とは住宅ローンに特化した生命保険で、ローンの契約者が返済不能な状況になっても保険金でローンの残金が支払われる仕組みです。
この団体信用生命保険の加入条件として健康状態が問われます。
癌などの重い病気、生活習慣病のリスクが高い人などは団体信用生命保険へ加入できないケースもあるのです。
債務整理後に住宅ローンを組んでマイホームを購入したいなら、金融事故の情報が消えるのを待つのが基本。
ただし住宅ローンの審査では金融事故の情報だけでなく、年収や勤め先など色々な要素が審査の対象になるので、入念な準備が必要です。
専門家に相談しながら入念な準備を行えば債務整理後であってもマイホームを手に入れることは不可能ではありません。