任意整理という方法によって借金契約を見直し、債務を軽減させることが出来るかもしれないことをご存知ですか。
ですが、任意整理は場合によっては金融事故と扱われる案件であり、実行した場合にはブラックリストに登録されてしまうこともあります。
そんな任意整理などの金融事故情報を記録している信用情報機関についての情報や、その情報を保持している期間について紹介します。
クレジットカードなどを作る際や更新する際、私たちは審査を受けています。
カード会社は支払いが滞ったり、利用料金を踏み倒されるようなことがないように、その人物が信用に値するかどうかを判断する必要があるため審査を行います。
その際、過去の支払い履歴、支払いの滞納があるかどうかなどの情報を信用情報機関という機関から提供されて、それをもとに審査を行うのです。
この信用情報機関は政府が指定した機関であり、クレジットカード会社や銀行などお金を貸すことを業務としている企業や団体が複数ある信用情報機関のうち少なくともひとつに加入しています。
この信用情報機関が管理や提供を行う信用情報は、クレジットカードやローンを申し込むときに使用されます。
貸金業者などが個人に貸し付けを行う際に信用情報を用いて、確かに貸したお金が回収できる信頼できる相手なのかどうかを調査することは義務なのです。
これによって貸金業者側は融資額が返済されないリスクを回避することが出来ますし、貸してもらう側も支払い能力を超えた額を融資される過剰融資がされることを防ぐことが出来ます。
信用情報はその人が本当にきちんとお金を返してくれる人かどうか、ということを示す情報ですが、過去に返済滞納などの履歴、自己破産などの記録があると信用に足りない人と見られても仕方がありません。
実は、任意整理は借金の見直しを求める行為で債権を放棄させるものではないものの、金融事故として扱われブラックリストに名前が載ってしまうことも少なくないのです。
では、金融事故が信用情報機関に記録されているとどのような不都合が起こるのでしょうか。
以下で解説していきましょう。
金融事故が記録されていると、クレジットカードやローンなどの形で一時的にお金を借りることが難しくなってしまいます。
信用情報機関に記録されている情報を元に貸金業者は貸し付けを行うので、任意整理などで借金の契約を見直したことが既にあれば、きちんとお金を返してくれない人として認識され、社会的信用を失ってしまうのです。
任意整理に限らず、事故情報が記録されブラックリスト入りを果たしている人であれば、新たにお金を借りることは難しくなってしまうのです。
この事故情報はクレジットカードや各種ローンの契約を結ぶ際に生じる審査のタイミングで、信用情報機関から知らされることによってカード会社や銀行が知ることになります。
これらの審査は入会のタイミングにも行われますが、クレジットカードであれば更新期限を迎えるたびに行われることになります。
任意整理を行ってしばらくしたら突然クレジットカードが使えなくなった、というケースであれば、更新のタイミングで行われた審査に落ちてしまったと考えるのがベターでしょう。
信用情報機関は全ての情報を永遠に保有し続けているのか、というとそうではありません。
信用情報機関で収集された情報は、その属性ごとに保存期間が決められており、既定の保存期間が過ぎた情報から消去されていきます。
つまり、例え任意整理を行ってしまったためにブラックリストに登録されてしまった場合であっても、一定期間待つことによって事故情報が消去されブラックリストから抜けることが出来るようになるのです。
逆に、一度登録されてしまった事故情報は、それが事実である限り期間中に消去されることはありません。
また自分名義のクレジットカードを作ったりローンを組むためには、事故情報が期限を迎えて消滅してくれるのを待つしかないのです。
信用情報機関はそのひとつ以上に銀行や貸金業者が加入している政府が指定した機関であり、「JICC(日本信用情報機構)」「CIC(シーアイシー)」「全銀協」の3つがあります。
それぞれ加入している金融業者に特徴があったり、事故情報の取り扱いに差があることが知られています。
それぞれの信用情報機関の特徴と、任意整理を行った場合にそれぞれの信用情報機関がどのような対応をするのか、という情報を紹介します。
JICCは信用情報機関のひとつであり、加入している業者には消費者金融が多いことが特徴です。
実は、任意整理を行った事実が金融事故として記録されるのは、3つある信用情報機関のうちJICCだけです。
そのため、任意整理を行った場合には、JICCに加入している貸金業者からのみ貸し付けを受けることが出来なくなってしまうかもしれません。
もし、任意整理を行った場合には信用情報の開示請求を行ったとき、用紙の右に用意された「異動参考情報」の欄に「債務整理」の文字が表記されることになります。
この情報をもとに、各貸金業者は信用の有無について検討し、貸し付けをしてもいいかどうかを判断するのです。
信用情報機関のひとつであるCICの加入者には、クレジットカード会社が多く存在しています。
任意整理を行った事実を金融事故として記録することはないものの、延滞や滞納など、期日までに借金を返済できなかったという事実があった場合については記録されることになるのです。
そのため、期日を守れなかった記録が任意整理前にあった場合には「異動」という記録が残されることになり、CICの基準においては信用力の低い人として扱われるようになります。
その場合、クレジットカードの契約、あるいは更新の際に行われる審査に通ることが難しくなってしまいます。
全銀協は3つある政府が認定した信用情報機関のひとつであり、加入者には銀行が多いことで知られています。
CICと同様に任意整理を行ったとしても、それが金融事故として記録されることはありませんが、その分だけ月々の支払いが滞った記録は厳しく管理されることになります。
全銀協が記録する情報の中には代位弁済というものがあり、債務者の支払いが滞ったために保証会社が肩代わりした、というものです。
あまりに返済が滞ってしまった場合にはこのような措置をされることがあり、延滞よりもさらに悪質な滞納状態であるため、これが記録された場合は全銀協に加盟している金融機関から融資を受けることはかなり難しくなるでしょう。
任意整理を行った記録は決して永続的に記録されているわけではありません。
金融事故として記録されるものの、ある既定の期間が過ぎることによって信用情報から抹消されることになるので、ずっとクレジットカードが使えない、などということは無いのです。
では、それぞれの信用情報機関によって任意整理を行った記録はどの程度保存されるのでしょうか。
以下ではその点を深く掘り下げて紹介します。
JICCは主要な3つの信用情報機関で唯一、任意整理を行った記録を金融事故として記録する信用情報機関です。
JICCが一度、信用情報に任意整理を行ったことを記録してから抹消されるまでは、かつては「当該事実の発生日から5年を超えない期間」でした。
当該事実、とは債権者に任意整理をしたい、と申し入れた日のことであり、そこから数えて5年以内に信用情報から任意整理の事実が削除されていたため、かつては任意整理を行ってから5年の節目より前にクレジットカードが再び使えるようになっていたこともあったのです。
しかし、2019年10月の規約改正によって、「契約継続中及び契約終了後5年以内」に変更されました。
この契約というのは貸し付けそのものを指している言葉であり、それが終了する、つまり完済してから5年が経過することが信用情報から金融事故の情報が抹消されるための条件になったのです。
かつては完済していなくても時間さえ経てば抹消されていたのですが、規約改正後は完済していることが信用力を回復している指標のように扱われるようになり、その分だけ事故情報の登録期間は長くなってしまったと言えます。
CICでは任意整理が金融事故として扱われることはなく、任意整理をした事実があってもCIC加入のクレジットカード利用が継続出来ることも少なくありません。
任意整理を申し入れても信用情報に異動の文字が加わることもありませんが、その一方で返済の延滞には大変厳しく、3か月以上の延滞が起こった場合には異動、という形で記録され、完済されてから5年の節目を迎えるまで残り続けることになります。
その期間中は月々の支払いが滞ってしまう可能性がある利用者として扱われ、クレジットカードの更新が出来ないなどの問題が生じることもあります。
CICは任意整理を行った情報を記録している、ということが稀にささやかれることがありますが、それは事実ではありません。
任意整理を行ったひとの信用力をCICが低くしている、と思われる原因になった理由は、任意整理を行ったひとが滞納を過去にしてしまっていたことがある、と考えられます。
もし任意整理前に延滞歴があればCICでの事故情報の抹消は完済から5年ほど、ということになり、JICCと同じ期間ということになるようです。
銀行はその他の貸金業者とは異なり、融資を行う際には保険をかけている、という特徴があります。
銀行でカードローンなど、貸し付けの契約するときは保証会社が間に入ることが多く、長期間返済が無かったり自己破産されてしまって回収できなくなってしまった、という貸し倒れの状態となってしまったときは保証会社が債務者に代わって借金を返済することになります。
このことを「代位弁済」と呼び、万一の場合にはこの「代位弁済」によって銀行側は損をしないよう、保険をかけているのです。
そんな銀行が多く加盟している全銀協が管理している信用情報でも、滞納した情報だけでなく銀行側に代位返済というカードを切らせるくらい悪質な滞納をしたことも記録されることになります。
CICと同様に、任意整理を行った事実は金融事故として全銀協に扱われませんが、この代位弁済は金融事故として記録されることになるのです。
延滞をした場合には延滞が解除されてから5年はその情報は残りますが、代位弁済を使用した貸し付けであれば完済から5年は金融事故として扱われ、記録されますので支払いが滞らないよう、注意が必要です。
金融事故は任意整理だけではなく、延滞や滞納もまた金融事故として扱われます。
信用情報機関によっては、きちんと月々の支払いを行っているかどうかが最も重要視されていることもあり、そのため信用力を保持してこれからもクレジットカードを使っていきたいのであれば、延滞や滞納は無いように気を付けなくてはなりません。