「任意整理をしたいが信用情報にキズが付くので躊躇している」という人は多いことでしょう。
任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されてしまい、一定期間クレジットカードを作ったり住宅ローンをはじめとする各種ローンの審査が通らなかったりします。
では、信用情報を早く回復する裏技などはあるのでしょうか?今回は、任意整理でついた信用情報のキズが回復する期間や、早く回復できる条件などを解説します。
ブラックリストとは、「信用情報機関に登録された事故情報」のことです。
クレジットカードを作ったりローンを組んだりするととその情報が「信用情報機関」に登録されます。
そして、債務者の住所氏名や電話番号、借入金額、債務残高、返済の状況などがすべて記録されるのです。
この記録内容を「信用情報」といいます。
借金返済が滞ったり、任意整理したり自己破産したりすると、この信用情報に事故情報として記録されるのです。
これを通称「ブラックリスト」といい、新たにローンを組んだりクレジットカードを作ったりする際の障害となります。
たとえば、任意整理後に生活を建て直し、マイホームを買いたい、車を買いたいと思った場合もローンを組むことができなければ、選択肢は大幅にせばまることになるでしょう。
また、ローンを組めた場合も金額が低く設定されてしまう可能性もあるのです。
さらに、携帯電話の新規契約ができなくなることもあり、生活に大幅な支障が出ることもあります。
インターネットを検索すると「ブラックリストに載った情報を消します」という業者の情報がヒットしますが、このような広告は間違いなく悪徳業者です。
詐欺の被害に遭ったり犯罪に巻きこまれたりするので利用してはいけません。
また、そのような業者に個人情報が渡れば、ヤミ金業者などに情報が横流しされる可能性があります。
ブラックリストに載っている最中や、信用情報が回復した後は、ヤミ金の勧誘が一気に増えるという報告もあるので、注意が必要です。
ブラックリストに載った情報が削除できるのは、その情報が間違っていた時だけです。
一例を挙げると、「携帯電話の料金をきちんと払っていたのにキャリア側のミスでブラックリストに載ってしまった」という事件がありました。
このときは、利用者から指摘を受け、誤った情報を信用情報機関に報告した携帯キャリア会社が撤回を申し出、認められています。
つまり、誤りとはいえブラックリストに掲載された本人が信用情報機関に問い合わせても、情報を削除することはできません。
記載されていた情報が誤っていた場合、まず信用情報機関に報告した会社が「あの情報は間違いでした」という報告を行い、調査して削除されます。
自分の信用情報は大丈夫かと不安になった場合は、情報開示を信用情報機関に求めましょう。
現在はパソコンやスマートフォンから申し込むこともできます。
開示できる情報は信用情報機関によって異なりますが、だいたい50件までは開示が可能です。
では、信用情報を早期回復するコツはあるのでしょうか? 結論から言うと早期回復する方法はあります。
次の項から、信用情報を早期回復するために実践することや早期回復するための条件などを詳しく解説していきます。
これを実戦したからといって必ずしも信用回復の期間が早まると断言はできませんが、やってみる価値は十分にあるはずです。
任意整理を行った場合、信用情報に任意整理を行ったとはっきりと記載するのは、「JICC」という信用情報機関だけです。
ただし、信用情報機関は互いに情報を共有していますので、JICC以外の信用情報機関を利用している金融業者ならローンが申し込めるということはありません。
一社に情報が載ったら、クレジットカードを作ったり各種ローンはしばらく利用できなくなると考えましょう。
任意整理の場合、金融機関と和解してから5年経てばブラックリストから自然に抹消されます。
ただし、任意整理中に借金返済が滞った場合、その情報も記載されます。
さらに、任意整理をしてそれでも借金返済を延滞したとならば、信用はかなり下がるでしょう。
ですから、任意整理をして金融業者と和解して5年間は可能ならば現金だけの生活を行いましょう。
任意整理中でも持っているクレジットカードは利用できます。
しかし、カード払いを利用していれば、つい使いすぎる可能性はゼロではありません。
不便ですが生活を建て直すためと思ってがまんしてください。
任意整理をした場合も、借金が残る場合があります。
過払金請求をして借金を帳消しにできるケースもありますが、それでも借金が残ることもあるでしょう。
この場合、借金返済は遅延せずに行ってください。
弁護士に相談していれば、生活に無理のない範囲の返済額になっているはずです。
また、任意整理前に借金返済を遅延している場合、本来なら和解後に5年で消えるはずの信用情報のキズが、1~2年延期されることもあります。
つまり、最大で7年ブラックリストに情報が載る可能性があるでしょう。
これは、任意整理中に借金返済が滞った場合も同様です。
さらに、任意整理中に借金返済が滞ると、一括返済を迫られることもあります。
この旨は任意整理の契約書にも記されており弁護士から説明も受けるはずです。
必ず守りましょう。
また、遅延せずに借金を返済しているという実績が信用の早期回復に繋がることもあります。
どうしても借金返済が難しくなりそうだという場合は早めに任意整理を行った弁護士や、任意整理の契約を結んだ債権者に連絡してください。
一括返済の場合は、2か月間借金返済が遅延した場合という条件が一般的です。
1か月ならば待ってもらえる可能性があります。
こうならないためにも、任意整理をした後に気を緩めず、堅実な生活をしていきましょう。
信用情報のキズが回復し、ブラックリストから外れると今までの借入履歴はすべて消されてしまいます。
すると、一度もクレジットカードを利用したことのない人と区別がつかなくなるのです。
この状態を「スーパーホワイト」といいます。
スーパーホワイトになると、ブラックリストに載っている時と同じくらいクレジットカードやローンの審査に通りにくくなるのです。
これでは、信用情報が回復してもメリットがありません。
この状態をできるだけ短くするためには、2つの方法があります。
1つは、ブラックリストに掲載されている最中、返済している借金があった場合はしっかり遅延なく返済することです。
もう1つの方法は、まずスーパーホワイトでも作りやすいクレジットカードを作ってください。
そして、返済実績を積み上げていきます。
このとき、支払いは分割払いにせず1回払いにして借金を増やさないようにすることが大切です。
クレジットカードを再び作るとき、定期収入があることはとても重要です。
定期収入があれば借金をしても計画的な返済をしていけるとみなされます。
逆に定期収入がなければ、また支払いの遅延を起こす可能性が高いと考えられ、審査がより厳しくなるでしょう。
信用情報を回復して再度クレジットカードを作りたい場合は、まず定期収入を得られる仕事に就くことが大切です。
定期収入があれば、雇用形態は問われないこともあります。
「いきなり正社員は難しい」という人もまずはパートやアルバイト、派遣社員などで定期収入を得るようにしましょう。
一定期間定期収入があれば、クレジットカードなども作りやすくなるはずです。
また、カード会社によっては年金収入なども定期収入の一種とみなされることもあるでしょう。
信用情報の回復をどうしても早めたい、という人もいることでしょう。
条件を満たせば信用情報を早期回復できる可能性はあります。
早期に信用を回復したい場合は、弁護士と相談して申し込みをしてもらいましょう。
契約書に「次の項から紹介する条件を満たせば信用情報を早期回復する」という条件をつけることができるかもしれません。
ただし、必ずしも信用情報が早期回復できるとは限らないので注意してください。
借金の額や任意整理をしたときの状況によっては情報の早期回復が不可のケースもあります。
任意整理をした後に借金が残った場合、それを一括返済することで信用情報が早く回復することができます。
これは、一括返済することで、十分な支払い能力があるとみなされるためです。
任意整理をしたり過払金が戻ってきたりした結果借金が一括返済できるまで減った、という人はやってみてもいいでしょう。
ただし、一括返済した結果、生活に必要なお金までなくなっては元も子もありません。
一括返済しても生活が立ちゆくかどうかよく考えて決断してください。
この方法は、定期収入がある人などは利用しやすいでしょう。
繰り上げ返済とは、毎月定められた返済額とは別に借入金の一部を返済することです。
例えば、毎月4万円が返済分と定められている場合、毎月6万円払えば、2万円分を繰り上げ返済したことになります。
通常の返済分は利息分も含んでいるため、利息が高いと「利息分しか払えず、元本ほとんど減らない」ということも起こるでしょう。
しかし、繰り上げ返済分はすべて元本の返済分にあてられます。
そのため、繰り越し返済をするほど元本が減り、借金返済が楽になるはずです。
収入が増えた、過払金が返ってきたので分割返済にあてたいという場合は利用してみましょう。
1万円でも繰り上げ返済すれば、支払期間がかなり短縮できるかもしれません。
また、繰り上げ返済をすることで借金返済能力が十分にあるとみなされ、信用情報が早く回復するケースもあります。
ただし、必ずしも早く回復するとは限らないので注意してください。
今回は、信用情報がキズついた場合の回復方法について解説しました。
支払い能力が十分にあると判断された場合は、信用情報が早く回復することもあります。
ただし、無理に借金返済をしてもその後に生活が立ちゆかなくなってはどうしようもありません。
まずは堅実な生活を行い、新たに借金をしないような生活を心がけましょう。
そうすれば、信用回復もしやすくなります。