アコムで借り入れをしていた人のなかには、アコムに対して過払い金請求を検討している人もいるのではないでしょうか。
実際に行動を起こそうと考えている場合、過払い金請求をする方法や、過払い金請求を行うまでの流れを事前に知っておくと安心です。
そこで、アコムに対する過払い金請求の流れや注意点、返還率などについて紹介します。
過払い金請求を検討するのであれば、請求相手に関する情報を収集することは重要です。
アコムに過払い金請求を行う前に、アコムという会社について確認しておきましょう。
どのような会社なのか、経営状態なども紹介します。
アコムは東証一部上場企業であり、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の連結子会社です。
三菱UFJフィナンシャルグループ内でも、アコムはブランド力と企業力を持ち、ほかの消費者金融との差別化に成功しています。
三菱UFJ銀行との提携を強化しているという点から見ても、破綻といった懸念要素は少ない企業であると言えるでしょう。
アコムは、自社で三菱東京UFJ銀行を含め北海道銀行、常陽銀行、足利銀行、セブン銀行、じぶん銀行といった複数の信用保証事業を行っています。
比較的経営状況は安定しているため、過払い金請求への対応についても、任意から大幅な減額はなく返還にも応じる姿勢です。
アコムから過去に借り入れをしていた人、現段階で返済中の人すべてが、過払い金の対象となるわけではありません。
アコムの過払い金の対象期間や、実際の返還率について紹介します。
アコムは、2007年6月18日まで27.375%と違法な金利で営業をしていました。
2007年当時、金利が違法であっても罰則がなかったため営業を行っていましたが、法改正により罰則も設けられ、2018年現在の金利上限は20%です。
しかし、2007年6月18日に金利の引き下げが行われたあとも、アコムが金利を変更していない事例がありました。
つまり、違法な金利のまま貸付を行い、複数の利用者に過払い金が発生している可能性があるのです。
アコムの金利は最大27.375%であったため、法改正後の金利上限となる20%を引いた、7.375%もの金利を過剰に支払っているということになります。
払いすぎた利息は「過払い金」として、返還請求が可能です。
ただし、借り入れをした全員が27.375%の金利であったわけではありません。
借り入れた金額ごとに金利は変動するため、自分の借入額と金利、返済した金額を確認することが重要です。
また、アコムのカードには、キャッシング枠のほかにショッピング枠が付いていたカードもありますが、過払い金請求の対象となるのはキャッシング枠のみとなります。
カードを使用した代金を立て替えるショッピング枠については、過払い金の対象外であるため注意が必要です。
アコムへ過払い金請求を行う方法は、話し合いによって解決する任意交渉と、裁判の判決で解決する2つの方法があります。
過払い金請求を行う方法ごとに返還される金額が異なり、任意交渉であれば返還される金額は最高で80%程度、裁判の判決を待つのであれば、返還される金額は最高で100%です。
また、過払い金には利息をつけて返還してもらうことが可能ですが、任意交渉では難しいといわれています。
そのため、利息をつけるのであれば、はじめから裁判をすることが多いです。
過払い金請求で裁判をする場合、専門知識が必要となるため自己弁護は困難であり、弁護士や司法書士への依頼をするのが通常です。
さらに、アコムを含め消費者金融は、相手によって過払い金請求への対応も変えることが一般的です。
アコムは、過払い金請求の交渉に慣れているため、自分たちが有利になる条件で交渉を行ってきます。
法律家に依頼せずに自分で過払い金請求の各手続きを行った場合、任意交渉でおよそ50%、裁判でもおよそ70%だけしか返還されません。
過払い金請求は1回しかできないため、損をしないように解決することが大切です。
アコムで過払い金請求を行う流れは、ほかの消費者金融に対して請求を行う場合と比較をして、大きな違いはありません。
実際に、アコムへ過払い請求をする際の流れや請求にかかる期間を紹介します。
取引履歴は、アコムに電話で依頼をして取り寄せることになります。
依頼をした取引履歴は、店頭での受け取りもしくは郵送してもらい、通常は2週間~3週間程度で受け取れることが多いです。
最初から弁護士や司法書士に相談や依頼をすることに抵抗がある人や、アコムから借り入れた内容を記憶していない人、過払い金の請求ができるのかわからない人は、取引履歴を取り寄せましょう。
取り寄せたアコムの取引履歴を確認しながら、引き直し計算します。
引き直し計算とは「適法な金利で借り入れた場合、借金の額はいくらになるのか」を計算し直す方法です。
適法な金利とは「利息制限法」に基づいた金利であり、利息制限法では元金ごと年利が決められています。
利息制限法で定められている年利は、元金が10万円未満の場合は年利20%までです。
元金が10万円以上100万円未満の場合は年利18%まで、元金が100万円以上の場合は年利15%までとなります。
元金と年利を確認したあとは、引き直し計算を行いましょう。
適法な金利と取引履歴を参考に、ひと月ずつ算出します。
取引履歴を参考にして実際に支払った金利を算出し、適法な金利の利息から実際に支払った利息を引くと、過払いの利息が算出できるのです。
引き直し計算まで完了したら、アコムに過払い金請求書を郵送して、過払い金請求を行います。
過払い金が発生しているのであれば、アコムに対して、過払い金の全額を記載した請求書を郵送します。
過払い金の返還請求書は文書として、内容証明郵便で郵送するとよいでしょう。
内容証明郵便にすることで、過払い金返還請求を行ったことを証拠として残せるためです。
文書を送付し、内容証明郵便によって郵便が到着したことを確認できたあとは、アコムに連絡をして過払い金の金額や、返還日程について任意交渉を行います。過払い金の返還額や支払い方法について、アコムと合意したあとは、和解契約書を取り交わして入金を待ちましょう。
アコムへの過払い金請求では、解決する方法によって請求にかかる期間が異なります。
和解交渉で解決した場合と、裁判で解決をした場合それぞれについて、過払い金請求にかかる平均期間を見ていきましょう。
アコムの和解交渉にかかる期間は、一般的に4カ月~5カ月程度といわれており、発生した過払い金元本の7割~9割で和解するケースが多いです。
ただし、スムーズに解決できることがメリットである反面、過払い金の利息に関しては返還されない可能性が高い点に注意しましょう。
過払い金請求について、アコムとのあいだで裁判を行った場合、解決にかかる期間は長くなります。
一般的に、6カ月~8カ月と長期化する可能性が高いです。
裁判は、そもそも裁判するまでの手続きに時間がかかるほか、アコム側も争う姿勢で臨むことが長期化する理由として挙げられます。
アコムとの和解が成立すれば過払い金は返還されます。
しかし、和解が成立しなかった場合はどうすればよいのでしょうか。
和解が成立しなかった場合の有効な方法を紹介します。
アコムとの和解交渉が成立しなかった場合、一般的には裁判で解決をします。
アコムとのあいだに特別な争点がなければ、スムーズに解決するでしょう。
しかし、裁判になるとさまざまな書類作成や、裁判所に出廷するための時間も確保しなければなりません。
まず、訴状や証拠書面といった、裁判を行うための書類作成を行います。
書類は、アコムに対して訴えたい内容を記載した訴状、過払い金が発生することを証明できる証拠説明書、アコムとの取引履歴、引き直し計算書、アコムの会社情報が記載された登記簿謄本です。
また、裁判は平日に行われるため、仕事がある場合は休みをとって出廷する必要があります。
訴訟手続きの進行中に、裁判官が当事者間での和解締結を促すこともあります。
訴訟上の和解をすることによって、早期に過払い金請求の論争を収束でき、訴訟費用を抑えることにつながるでしょう。
アコムに過払い金請求をするためには、注意しなければならないこともあります。
注意点を認識しないまま過払い金請求をすると、通称「ブラックリスト」に履歴が残るといった不都合が生じることもあるのです。
どのような点に注意するべきかを確認しましょう。
ショッピングの支払いが残っている場合、返還された過払い金はショッピングの残金の返済に充てられます。
そして、ショッピングの残高が返還された過払い金よりも多かった場合は、信用情報機関に履歴が載ってしまう点に注意が必要です。
信用情報機関に履歴が載ると、ローンを組めない、クレジットカードを作れないなどのデメリットがあるため、ショッピングの支払いを確認してから過払い金請求を行いましょう。
アコムは、DCキャッシュワンとじぶんローンとの吸収合併を行っています。
そのため、アコムで完済していても、DCキャッシュワンとじぶんローンで返済中の場合は、アコムで完済したことにはならないのです。
また、アコムが保証会社になっている、じぶん銀行や三菱UFJ銀行のカードローンなど銀行で借り入れが残っている場合も、アコムで完済したことにはなりません。
アコムでの過払い金請求には、注意をしなければならない点もたくさんあります。
また、過払い金が発生している場合には、可能な限り早く行動を起こすことも大切です。
アコムを含めた消費者金融に対する過払い金請求には期限があり、完済した日から10年で消滅時効を迎えます。
アコムから借り入れをしていた人は、時効によって過払い金を取り戻せなくなる前に、過払い金の請求を行わなければなりません。
アコムへの過払い金請求で困っている人、100%に近い金額を取り戻したい人は、スムーズに解決するためにも専門家への相談を検討してみましょう。