過払い金請求を行うには自分で行う方法と弁護士などの専門家に依頼する2つパターンがあります。
どちらの手段を行うにしても気になるのは費用面です。
高額に費用がかかってしまえば過払い金請求をする意味がなくなります。
そこで今回は、過払い金請求にかかる費用の相場や弁護士に依頼する場合の費用を安く抑える方法について紹介します。
過払い金請求は自分で行うこともできます。
自分で必要な書類や手続きが行えれば弁護士に依頼することなく過払い金を取り戻せます。
自分で行った場合、どのくらい費用がかかるのか紹介します。
弁護士に依頼していないので自分で債権者と和解交渉しなければいけません。
和解交渉をするうえで必要な費用は、全部で4つあります。
1つ目は取引履歴の取り寄せ費用です。
取引履歴とは貸金業者との契約、借り入れ、返済の履歴が記載されたもので、過払い金の計算などに使用します。
賃金業者によっては無料の場合もあるので、取り寄せ際は費用が発生するか事前に確認しましょう。
2つ目は、過払い金請求に必要な契約書を取り寄せる費用です。
金額は数千円程度で済みます。
3つ目は引き直しを計算するための専用ソフトを購入する代金です。
エクセルや計算機でももちろん引き直しの計算はできますが、ミスが起こりやすく、金額を間違えてしまえば再度計算し直す作業が発生します。
しかし、エクセルをインストールしているパソコンであれば、ソフトを購入しなくても無料ソフトをダウンロードすることもできます。
専用ソフトを購入する必要はなくなるので、さらに費用を抑えることが可能です。
和解交渉にかかる費用の次は、自分で裁判をする際にかかる費用についてです。
裁判にかかる費用は主に3つあり、その1つ目が収入印紙代です。
これは金額によって異なります。
たとえば、訴額が10万円までであれば収入印紙代は1,000円ですが、50万円であれば5,000円です。
2つ目は郵送代金として約6,000円かかります。
金額は裁判所や貸金業者の数によって変わります。
3つ目は代表者事項証明書の発行手数料で、約600円かかります。
代表者事項証明書は資格証明書ともいわれるもので、過払い金を回収したい相手が法人の場合に必要な証明書です。
会社名や住所、代表者の氏名が記載されており、法務局で取得することができます。
自分で過払い金請求の手続きを行えば、弁護士に依頼する金額より抑えることが可能です。
しかし、弁護士に依頼することで費用がかかっても、慣れない作業や計算、必要書類を集めるなど手間のかかる作業が省けますし、相手との交渉を有利な方向へ進めてくれる可能性があります。
実際に弁護士に依頼した場合、どのくらい費用がかかるのか紹介します。
弁護士に依頼する場合は、まず「相談料」「着手料」が必要になります。
相談料の目安は1時間に5,000円〜1万円程度です。
依頼先によっては無料であったり、報酬に含めてあったりします。
事前にホームページや電話で相談料がいくらかかるのか確認しておきましょう。
着手料とは最初に支払う依頼料のことで結果が成功、失敗のどちらであっても支払いが発生します。
着手料は発生したとしても3万円前後が相場です。
弁護士に支払う費用は「相談料」「着手料」だけでなく「報酬」もかかります。
過払い金報酬といって、貸金業者から返還された数%の過払い金を支払います。
ただし、どのような解決方法で過払い金が戻ってきたのかによってパーセンテージが変わってきます。
交渉だけで解決した場合は最大20%で、訴訟で解決した場合は最大25%と異なります。
この過払い金報酬のパーセンテージは、日本弁護士連合会が決めている数字より高く請求することはありませんので、お金を支払い過ぎてしまう心配はありません。
ほかにも過払い金報酬のほかに「減額報酬金」があります。
借金の返済が残っている場合に過払い金報酬の代わりに減額できた金額に応じて支払う費用のことで、最大10%です。
「相談料」「着手料」「報酬」のほかにも「実費」で費用がかかるものがあります。
個人で対応したときと同じように、弁護士に依頼した場合でも費用がかかります。
全部で7つあるのでそれぞれ確認していきましょう。
1つ目は、取引履歴や契約書を用意する「事務手数料」です。
数千円程度で収まる場合がほとんどでしょう。
2つ目は「通信費」です。
弁護士との連絡や書類を集める際に連絡をするので携帯電話代などが含まれます。
3つ目は、弁護士事務所などや書類を取りに行く際にかかる「交通費」です。
弁護士事務所や法務局が遠いと費用がかさみます。
4つ目は「郵便切手代」にかかるお金です。
郵便切手代はおおよそ6,000円です。
5つ目は「収入印紙代」です。
訴額によって金額が変わってくるので、弁護士にいくらかかるのか確認しておきましょう。
6つ目は「代表者事項証明書」です。
賃金業者の会社名や住所、代表者名などが記載された用紙を法務局へ取りに行きます。
かかる費用は600円です。
7つ目は裁判費用で、相場は2万円~3万円です。
ここまで、自分で過払い金請求を行う際にかかる費用と弁護士に依頼したときの費用についてお伝えしましたが、やはり弁護士に依頼するとなると費用がかかるのです。
しかし、自分で過払い金請求をするより専門家に依頼することで面倒な手間から開放されるだけでなく、むずかしく感じる書類手続きを依頼できるのは助かります。
そこで、弁護士に依頼する費用をできるだけ抑える方法や、弁護士費用がすぐに用意できない人のために対処方法を紹介します。
相談料や着手金無料のケースも法律事務所によってはあります。
過払い金請求の弁護士費用は、着手金と報酬金が組み合わさっているケースもあるため着手金が無料となるのです。
一見、無料と書いてあるので安く感じることがありますが、全体的に見ると金額がそこまで安くないこともあります。
ですから「相談料」「着手金」「報酬金」と全体の金額が低くなるように法律事務所を選ぶことが大切です。
弁護士事務所に過払い金請求の対応をお願いするのであれば、最初から一社だけに絞らず複数の法律事務所で見積もりを取りましょう。
それぞれの法律事務所でかかる費用を比べることができます。
過払い金の請求では、貸金業者を何社相手にするのか、現在も借金の返済中か、すでに完済しているかなど、依頼人が置かれている状況によって弁護士費用が変わります。
ですから、複数の法律事務所で見積もりを取ることで、どこが最もコストを抑えて対応してもらえるかがわかってきます。
また、相談料が無料の法律事務所を選んで見積もりをもらって比較すれば費用をグッと抑えることができます。
弁護士費用がすぐに用意できず、相談や依頼ができないと悩んでいませんか。
法テラスを利用すれば弁護士費用を立て替えてもらうことが可能です。
法テラスとは、経済的に余裕がない人や法律にまつわるトラブルが発生したときに相談できる機関のことで、国によって設立されています。
法テラスは、収入条件や審査はあるものの、弁護費用から着手金、実費などにかかる費用を立て替えることが可能で、分割返済もできます。
分割は月々5,000円~1万円と返済しやすい金額です。
法律に詳しくない人でも無料でわかりやすく教えてくれるので安心です。
過払い金請求を弁護士に依頼すると、自分で手続をするより費用がかかります。
それでも弁護士に依頼するのはどのようなメリットがあるのでしょうか。
それぞれ確認しましょう。
過払い金の請求をする際は交渉力がとても重要です。
その理由は、交渉次第で過払い金の回収できる金額が大きく変わってくるからです。
100万以上の高額な取引が合った場合や過払い金の額が多いと予想されるとき、自分で交渉するよりも専門家に依頼することで回収額が大きくなる可能性があります。
相手が納得できるポイントを見極めるので、和解も成立しやすくなります。
法律事務所に依頼すると、書類作成、引き戻し計算、交渉、郵送などの業務のすべてを弁護士が代行してくれます。
それにより、時間や手間を大幅に省くことが可能です。
複数の貸金業者と取引があれば計算が複雑になるので、仕事と両立しながらでは疲れて仕事のパフォーマンスにも影響を与えるおそれもあります。
また、過払い金には時効があり、期限が近づいているときは特に弁護士に依頼すること必要です。
自分で対応しようとすれば、まずは調べることから始まるので時間がかかりすぎます。
弁護士があいだに入ると貸金業者の対応が変わる場合があります。
債務者への取り立てがなくなるので精神的に追い詰められることがなくなり、負担を軽減することが可能です。
個人対応に慣れている貸金業者の場合は、自分で引直し計算をして過払い金を請求したとしても支払いを渋られる場合があります。
貸金業者もなるべく返還額を減らしたいと考えているので、法律知識をある程度知っていなければ貸金業者の条件で話がまとまってしまうかもしれません。
また、取引履歴を取り寄せるときに個人と弁護士とでは対応に差が出てくる可能性があります。
履歴の送付を依頼したときに、個人よりも弁護士のほうを優先する場合もあるので、あらかじめ弁護士に依頼しておくことでスムーズに取引ができます。
過払い金請求を自分で行おうとすれば、必要な書類を集めたり休日に法律事務所に寄ったりと普段と違う行動から、家族に疑われる可能性が高くなります。
家族に内緒にしている人は、弁護士に依頼することで必要な書類の手続きや引き直し計算まで行ってくれるので安心です。
家族にバレてしまう理由の1つに郵便物で気づかれてしまうことです。
弁護士にあらかじめ伝えておくことで、家族に知られないよう配慮してくれます。
過払い金請求は、自分で行えば費用を抑えられます。
しかし、賃金業者もプロですから交渉力が高くなければ回収金額が減ってしまう可能性があります。
弁護士に依頼することで、手間や時間を省くだけでなく、回収金額も自分で対応するより多く返ってくる可能性が高いでしょう。
費用は今回紹介した方法を試してみることで安く抑えられます。
過払い金請求でわからないことがあれば、1人で悩まず専門家への相談を検討してみましょう。