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自己破産は債務整理の一種!メリット・デメリット・期間を解説

債務整理という言葉を聞いた事があるでしょうか。
名前を見る限り、借金を整理する事だとは想像がつくでしょう。
しかし、実際に借金に悩んでいる人の中には債務整理について知らない人がいるかも知れません。
借金を整理すると言うと自己破産が思い浮かぶ事もあるでしょう。
自己破産と債務整理は同じ物ではありません。
その違いを踏まえた上で、ここでは自己破産手続きについて解説します。
借金問題の解決にぜひ役立てて下さい。


自己破産とは?債務整理との違いを解説

債務整理というのは、返済が困難になった債務についてそれを解決するための法的な手続きの事です。
この中には自己破産も含まれています。
債務整理には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つの種類がありますが、特定調停については2004年をピークに急速に減っており、申し立て件数ベースで見ても、2010年には2004年の10分の1以下になっています。
任意整理は裁判所を使わずに行う債務整理で、それ以外は裁判所が関わってくる債務整理です。
特定調停は簡易裁判所が、個人再生と自己破産は地方裁判所が担当します。

自己破産はこの4つの手続の中で、唯一「借金がゼロになる」可能性のある手続きです。
その他の手続きは借金の返済額や金利負担を軽減した上で、返済を継続しなくてはいけません。
例えば500万円の借金があった場合、元本を100万円にまで圧縮できますが、それを3年以内で返済する事が必要になります。
つまり安定した収入がないと不可能なのです。
それに対して自己破産では借金をゼロにできる可能性があるのです。
また、自己破産を避けて他の債務整理を行っても、結局返済ができず自己破産に移行する人もいます。

個人の自己破産手続きは2種類!それぞれの違いを解説

自己破産の手続きには、「管財手続き」と「同時廃止手続き」の2種類があります。
以下に、それぞれの手続や内容の違いなどを解説します。

管財手続き

管財手続きと言うのは、ある程度の財産がある人が自己破産を申し立てた時に行われます。
破産者の財産をすべて処分し、その対価を債権者に公平に分配する物です。
原則としてすべての破産手続きは管財手続きで行う物なのですが、実際の運用上は個人の自己破産事件に関して異なる対応がなされる事が多くなっています。
管財手続きを行う場合、破産者の財産を調べたり処分したり、それを債権者に分配したりする仕事が発生します。
これを行うのは裁判所から指名された破産管財人ですが、裁判所に登録した弁護士が費用を受け取ってその作業を行うのです。

ところが破産する人の場合、その費用をまかなえるだけの財産を持っていない事も少なくありません。
そこで、一部の裁判所ではその費用に充てる予納金の金額を抑えた「少額管財手続」というものを準備している事があります。
ほとんどの場合、個人の自己破産はこの少額管財手続きによって行われます。
しかし、この制度は各裁判所の判断によって運用されているので、この制度を持たない裁判所もあります。
そうした場合や、少額管財手続きにさえ財産が足りない場合は、次に説明する同時廃止手続きが行われます。

同時廃止手続き

破産者の中には処分して債権者に分配したり、管財人の費用などに充てるための予納金にしたりできるほどの財産を持っていない人もいます。
むしろそうした人のほうがずっと多いのです。
そうなると管財手続きの対象がありませんから、破産管財人は専任されません。
つまり、破産手続きが開始されると同時に「財産がないから破産手続きを廃止する」と言う決定がなされるのです。
このため、この手続きの事を同時廃止と呼んでいます。
手続きの開始と廃止が同時であるため、同時廃止手続きは非常に簡単です。
管財手続きとの違いは、財産の調査や処分、債権者への分配という時間のかかる作業がないことで、破産管財人が専任される事もありません。

先にも紹介した通り、自己破産事件は原則として管財手続きで進められるものです。
しかし、実際には過半数が同時廃止手続きで行われています。

自己破産のメリットとデメリットを把握しよう!

自己破産は債務整理の中で最も強力な手続きです。
そのためメリットもデメリットも大きくなります。
それぞれの詳しい内容について以下で解説します。

債務が残らないことが最大のメリット

自己破産では同時に免責許可の申し立てを行います。
そして、免責が認められないような事例に当てはまらない限り、免責許可が下ります。
そうすると、一部の賠償責任や税金、養育費の支払いなど免責されない特別な債務を除いて、すべての債務がゼロになります。
つまり、自己破産の原因の多くを占める「借金の返済」が必要なくなるので、生活の再建が容易になると言えるでしょう。
もちろん自己破産の申し立て手続きが完了すると、給料や家財道具などを差し押さえられる事もなくなります。

一方で、破産したからと言って、すべての財産が失われると言う事もなく、生活に最低限必要なお金や家電製品などの家財は手元に残ります。
その内容については、同時廃止の場合であっても裁判所からの財産処分と債権者への分配の指導に基づいて決定されます。
条件に応じて20万円~99万円程度の財産は手元に残るでしょう。

生活に支障が出ることがデメリット

自己破産の場合「すべての債務」が破産の対象となるため、住宅ローンや自動車ローンなども債務整理に含まれます。
そのため、ローンが残っている場合は契約に従って自宅や自動車を手放す事になるでしょう。
また、ローンを完済していたとしても家や自動車には財産価値がありますので、破産申し立てに伴って処分し債権者に分配しなければなりません。
そして、自己破産した人は官報(国の広報紙)に住所と氏名が掲載されます。
一般の人はあまり官報を熟読するような事はないでしょうが、ある指定信用情報機関によって収集され個人の信用情報として登録されます。
この情報は10年間維持されるのです。

その他、他の指定信用情報機関によっても自己破産の情報は5年間登録されます。
このため、そうした情報を主に利用するクレジットカードや信販関係、消費者金融系のサービスはその期間利用できなくなります。
スマホ本体の分割払いについてもその情報を利用しています。
また、自己破産の免責が下りるまでの申し立て期間中には、士業や警備員などの職業に就けなくなります。
その規制は一般的には免責が下りればすぐに解除されますが、職種によっては数年間就けない事もあるのです。

自己破産の手続きの流れ・手続きにかかる期間

自己破産の手続きにおいて重要なのは、破産者の財産の状況を詳しく慎重に調べる事です。
借金の額は当然として、財産も細かく調べなければなりません。
ですので、最初に弁護士などの専門家に相談してから正式な依頼まで、早くて2か月以上、長ければ半年くらいかかるケースもあります。
しかし、それではその期間取り立てが止まらず困る事もあります。
弁護士などによっては、先に正式な受任をしてから財産の調査に取り掛かってくれるケースもあるので、最初の相談の時に尋ねておきましょう。
実際の流れは次の2つに分けられます。

・管財手続きの場合
・同時廃止手続きの場合

大雑把な流れとしては、相談の後正式に依頼すると、弁護士などから債権者に受任通知が送られます。
そうすると取り立てはストップしますので、必要な種類などを整えて裁判所に申し立てをすると言う事になります。
上の2つのパターンについて、以下で詳しく解説します。
なお、ここで解説する手続きの時間は目安です。
例えば、自己破産の申し立てが殺到した1990年代には裁判所によっては、申し立てから免責まで、2年近くかかったという情報もあります。

管財手続きの場合

自己破産の手続きは、弁護士や司法書士などの専門家に相談するところから始まります。
相談は弁護士会や司法書士会の法律相談を利用するといいでしょう。
借金の一覧と、収入状況を紙にまとめて持って行くと早く相談が進みます。
弁護士などは守秘義務がありますから、包み隠さずすべてを見せて相談する事が重要です。
あとから隠れていた借金などが見つかると、破産手続きに支障をきたすどころか、最悪の場合免責不許可になってしまう場合もあります。
この時に契約書などが全て揃っていれば、後の手続きも楽になるでしょう。

そして、そこで最も適切な債務整理の方法が決まると、正式な依頼を行う事になります。
自己破産の申し立ての依頼を行うと、受任通知が債権者に送られます。
受任通知が送られた段階で、債権者からの取り立てが止まるのが一般的です。
そして、裁判所へ自己破産を申し立てます。
裁判所は申し立てを受けると内容を調査して破産手続きの開始を決定します。
この段階で法的にも取り立てができなくなります。

管財手続きで破産手続きが行われると、まず破産管財人が専任されます。
破産管財人は負債の原因や財産の状況について調査を行います。
その後、債権者集会が開かれ、破産手続きの状況が報告されます。
調査の結果、配当できる財産がない場合には破産手続きの廃止(異時廃止)が行われ、ある場合には債権に応じて債権者に配当が行われます。
その上で、免責不許可の理由がない場合には免責許可が降りて手続きは完了です。
もちろん不許可になって完了してしまうケースもありえます。

一般的な管財手続きの場合、準備期間に3か月以上、免責決定までにはさらに半年以上かかる場合が多くなっています。

同時廃止手続きの場合

弁護士などに相談した段階で、明らかに財産がないという場合には同時廃止で手続きを行う事になります。
管財人の報酬などの費用を支払う力もない場合です。
預貯金は数万円程度しかなく、借家住まいで高額な家財も持っていないと言う場合にはこれになるでしょう。
この場合でも最初の相談から裁判所への申し立てまでは、管財手続きの場合とほとんど同じです。
申し立ての段階で弁護士などが同時廃止で申し立てるのです。
申し立てると弁護士同席で裁判官との面接が行われます。
その結果裁判所が申立人に支払い能力がないと判断すると、同時廃止で破産手続きが開始されるのです。

破産手続きが開始されると、次は免責の申し立てです。
これは破産申し立てと同時に行われる場合もあります。
再び弁護士同席で裁判官との面接が行われます。
そして債権者からの意見書なども参考に、免責の許可不許可が決定します。
同時廃止の場合管財手続きより時間が短くて済むのですが、一般には準備に2~3か月、免責決定まで3~4か月と言われます。
裁判所によっては即日面接と言って、申し立てたその日に面接を受けられる方法もあるようです。
この場合、かなり期間が短縮される事が期待できます。

自己破産はどのようなケースに適した手続きなのか?

自己破産を申し立てれば全て免責(借金をゼロにする事)が認められるわけではありません。
免責が下りないケースもあるのです。
また、他の債務整理の方法が適しているケースもあります。
以下で詳しく見て行きましょう。

自己破産に適しているケース

何らかの事情で安定した収入がなく返済を継続できない場合や、財産がまったくないため返済に充てる事ができない場合は自己破産が最も適した債務整理と言えるでしょう。
これに当てはまる典型的な例は、生活保護を受給していたり、病気や怪我、年齢、障害などの理由から安定した収入につながる就業が困難なケースです。
そうした場合には病院の診断書や障害者手帳などを申し立ての際に提出するといいでしょう。

また、借金の総額が5分の1程度まで圧縮されても返済ができない場合も自己破産に適しています。
自己破産ではなく個人再生の債務整理を選んだ場合は、借金の総額は概ね5分の1に圧縮され、それを3年間で返済するというルールになっています。
例えば、500万円の借金があったとして、それが100万円に圧縮されるわけですから、月額は28,000円弱の返済になります。
病気などで職を失った場合などにはこれでも厳しいかも知れません。
そうした場合は自己破産が選択肢として適切でしょう。

自己破産が認められないケース

借金の総額がそれほど多くない場合には自己破産そのものが認められない場合もあります。
ただ「多くない」という基準は人によって異なります。
収入や財産の状況に応じて裁判所が判断しますが、事前の相談の段階で弁護士などからもアドバイスがあるでしょう。
利息が免除されれば3年で返済できるような場合も自己破産は認められません。
そして最も重要なのは免責不許可事由に当たるような行為がないかどうかという事です。
次のような行為があると免責されない場合があります。

・浪費によって借金を作った場合
・ギャンブルによって借金を作った場合
・クレジットカードのキャッシング枠の現金化のような行為を行っていた場合
・特定の債権者にだけ返済を先にしてから破産を申し立てた場合など
・破産の申し立てをする事が決まっているのに新たに借金をした場合など

これらは免責不許可事由に当たりますが、裁判所の裁量によって免責される場合もありますので、弁護士などによく相談してみて下さい。

自己破産を検討する場合は早めに専門家へ相談!

このように自己破産は、債務整理の最終手段として選択できるものです。
自己破産の手続きに入った事を知らせるだけで取り立ても止まりますので、生活の立て直しを図ることができます。
ただし、免責決定までに時間がかかることもあるため、できるだけ早く専門家に相談する事をおすすめします。
また、弁護士などの費用は分割払いが可能な場合がありますので、一度相談してみましょう。

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