債務整理を考えている人や債務整理中の人は、携帯電話やスマートフォンを使い続けられるのか、新規契約、機種変更はできるかで心配になるかもしれません。
携帯やスマホは、今や生活必需品ともいえる身近なアイテムになっています。
債務整理をしたときにこのようなアイテムの扱いがどうなるかは、多くの人が抱える疑問です。
今回は、債務整理と携帯、スマホの気になる疑問について解説していきます。
債務整理をすると、いろいろな面で生活への影響が現れてきます。
債務整理の方法は、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類です。
これらのうちどれを選んだかで、生活への影響の仕方が変わります。
すべての方法で影響があるのが、クレジットカードやキャッシングの利用、新規のローン契約などです。
債務整理をすると、信用情報機関に事故の情報が登録されます。
いわゆるブラックリストに載った状態になるため、信用が重視されるクレジットカードなどは利用ができなくなります。
自己破産や個人再生などは、本人の代わりに債務の請求がいくなど、家族や保証人にも迷惑がかかる恐れがでてきます。
また、保有する車や家といった資産が差し押さえられる可能性もあるため要注意です。
債務整理の対象になる資産には、機種本体が高額なスマートフォンや携帯電話も含まれます。
そのため、債務整理の方法によっては携帯やスマホを使い続けるのが難しくなるケースもあります。
実のところ、債務整理にはいろいろな弊害があります。
携帯やスマホの機種変更や新規契約には、具体的にどのような影響があるのでしょうか。
債務整理の後にできることとできないことを、ここではそれぞれ見ていきます。
両者の違いがわかっていれば、落ち着いて対処ができるでしょう。
債務整理をしたとしても、携帯料金の未払いがなければ機種変更や新規契約は問題なくできることが多いです。
他の携帯電話会社に乗り換えることも、基本的に可能です。
ただし、これは申し込みをする時点で滞納している料金がないことが条件です。
未払いの料金が残っていると、料金を支払うまでは機種変更や新規契約ができなくなるのが一般的です。
保証金などを支払うことで手続きができるケースもありますが、対応は携帯電話会社によってケースバイケースです。
携帯電話の利用料金や端末本体の料金を滞納していると、契約の際にチェックされてしまいます。
携帯電話の場合、料金を支払って滞納がなくなれば通常は問題なく手続きができます。
ただ、料金を踏み倒した経験がある人は、履歴が抹消されていないと何らかの形で制限がかかるケースもあるため注意が必要です。
携帯やスマホの機種変更、新規契約の際には、機器本体の料金を分割払いにする方法もあります。
少額ずつ支払えば少し高い機種でも手に入るため、分割払いは人気です。
ただ、債務整理をした場合には、このような分割で料金を支払うことはできなくなります。
機器本体を分割払いする場合、携帯電話会社では信用情報機関に照会をして信用情報に問題がないかどうかを調べます。
分割払いは新規のローン契約になるため、申込者の情報をひと通りチェックするのが通常のやり方です。
債務整理をした後は、その人の信用情報に記録が残ってしまいます。
したがって、クレジットカードやキャッシングの利用ができないのと同じく、機器本体の分割払いは受け付けてもらえません。
債務整理をした人は、新規契約や機種変更の際に一括払いで機器本体を購入するのが基本です。
一括払いの場合はローンを契約する必要はなく、信用情報に問題があるかどうかに関係なく手続きが進められます。
債務整理をしたときには、使用しているスマホや携帯がどうなるかも気になるトピックです。
所持しているスマホや携帯の解約が必要になるかどうかは、選んだ債務整理の方法次第と言えます。
ここでは、「任意整理」、「特定調停」、「個人再生」、「自己破産」の4つの方法を2つのパターンに分けて、利用が続けられるかどうかについて解説していきます。
任意整理と特別調停をおこなったときは、携帯やスマホを使い続けることも場合によっては可能です。
これらの2つの方法は、借金の整理をする債権者を自分で選べるのがメリットです。
整理をしたくないローンについては、債務整理の対象から外すことができます。
例えば、携帯電話会社への影響を考える場合には、携帯電話会社を債務整理の対象から外せば問題はありません。
このような方法をとると、ほかの債務だけが整理できるため、生活への影響は少なく済みます。
実際、携帯電話会社の債務を外した場合には、現在使っている携帯やスマホはそのまま使い続けることが可能です。
家を残したいときには、住宅ローンを債務整理の対象から外せば住宅を手放す必要もありません。
個人再生や自己破産は、すべての借金が債務整理の対象です。
任意整理や特別調停のように一部の債権者を選ぶことはできず、以後は携帯やスマホが使えなくなる可能性がでてきます。
ただし、生活に必要なアイテムとみなされたときには話は別です。
携帯やスマホがないと仕事や生活に差し支えるような状況であれば、個人再生や自己破産をした後も使い続けられる可能性があります。
一方、使い続けるのが少し難しいのが、携帯やスマホの利用料金や機器本体の料金を滞納している場合です。
このようなケースでは、滞納している料金も借金の1つと見なされて整理されるのが基本です。
個人再生や自己破産では、債権者平等の原則にのっとって整理がおこなわれます。
料金を滞納されている携帯電話会社も、ほかの債権者と同様に債務者から借金を支払ってもらう権利があるわけです。
したがって、手続きをすると携帯電話会社にも債務整理をしたことが知らされます。
契約者が債務整理をしたと携帯電話会社が認知したときには、最悪の場合、解約を迫られる恐れもあります。
債務整理をする前には、ほかにも押さえておきたいことがいくつかあります。
ここからは、債務整理をするにあたって気になる携帯に関する疑問を順に紹介していきます。
信用情報機関に滞納などの事故情報が登録されることを、一般的に「ブラックリストに載る」と表現します。
金融機関などが信用情報機関に照会をしたときに事故情報がヒットしてくれば、その人はブラックリストに載っている状態と見なされます。
任意整理をはじめとする債務整理をおこなうと、信用情報機関に事故情報が登録され、5年間は情報が消えません。
事故情報は、信用情報機関を利用しているクレジットカード会社や信販会社とも共有されるため、クレジットカードやローンの利用などは一切できなくなります。
携帯電話会社も、機器本体の分割払いを受け付けていることから、ブラックリストの運用にかかわっている企業の1つです。
携帯電話の分割払いは、信用販売に該当します。
このようなサービスを提供する携帯電話会社は、割賦販売法の適用を受けます。
利用者が分割払いを申し込んできたときには、法律のルールにのっとって信用情報機関に問い合わせをすることが携帯電話会社の義務です。
携帯電話の料金などを滞納している人は、携帯ブラックと呼ばれることがあります。
携帯ブラックのブラックは、ブラックリストのことです。
携帯電話会社には、信用情報機関のリストとは別に独自のブラックリストがあります。
携帯電話会社のブラックリストは、TCA(電気通信事業者協会)という組織を通じて共有されています。
このTCAには、大手三社だけでなく格安スマホの会社も加入しており、各社で情報が見られる状況です。
携帯ブラックは、携帯電話会社がこのようなTCAを通じて未払い情報を共有している人を指します。
信用情報機関のブラックリストは、一般のローンの未払い情報だけでなく、携帯の機器本体を分割払いで購入した場合の未払い情報も載ります。
それに対し、携帯ブラックのブラックリストは、携帯の利用料金が未払いの人の情報リストです。
共有されている情報の内容が少し違う点は、知っておいたほうがよいかもしれません。
携帯電話料金は、法律上非免責債権としては扱われていません。
ちなみに、法律上非免責債権は税金などの債務整理の対象にならない債権のことです。
この債権に該当しない携帯電話料金の滞納分は、債務整理の対象にできます。
未払い料金が支払えない金額まで増えてしまったときは、債務整理で対処する方法も考えてみる価値があるでしょう。
携帯電話料金を未払いのまま放置していると、督促状が送付されるのはもちろん、ブラックリストにも載る可能性がでてきます。
滞納している料金の種類によって信用情報機関やTCAなどに登録されてしまうため、早めに対処することが大切です。
例えば、任意整理を選択すれば、無利息の分割払いで携帯電話会社と和解をする形にできます。
この場合、時間をかけてお金を支払いながら滞納分を消していくことになるでしょう。
携帯電話の料金をクレジットカード払いにしている場合、任意整理などの債務整理をすると支払い方法を変える必要がでてきます。
こういった場合、債務整理の情報が登録された時点で通常はクレジットカードが使えなくなるからです。
多くの携帯電話会社では、クレジットカード払い以外の支払い方法も用意しています。
債務整理をした後も、携帯電話はそのまま使えるケースが多いです。
支払い方法を変更すれば、とくに問題はありません。
口座振替やコンビニエンスストアでの振り込みなどに切り替えれば、支払いが滞りなくできるでしょう。
ただ、それまで契約していた携帯電話会社の支払い方法がクレジットカード払いのみだった場合は少し注意が必要です。
このようなケースでは、債務整理をする際に口座振替などが可能な他社に乗り換える必要があるでしょう。
債務整理をする場合、家族に秘密にして手続きをおこなう人もいます。
任意整理などは生活への影響が少ないため、配偶者や子供などに知られずに進めることも可能なケースが多いです。
こういった場合に多い心配ごとが、家族の携帯電話の契約についてです。
「自分の債務整理のせいで家族の携帯電話まで制限されるのではないか」と不安になる人は、実際に少なくありません。
ただ、任意整理などの債務整理をしても、家族の携帯電話にまで制限がかかることは通常はないと言えます。
機種変更はもちろん、分割払いの契約も問題なくおこなえます。
信用情報には本人の情報のみが登録されるため、家族であっても本人以外の人に影響がでることは少ないです。
信用情報機関に登録されている情報は一般の人は見ることができません。
したがって、うわさなどで家族にバレるリスクは少ないです。
債務整理をしても、任意整理などの方法を選べば整理をしたことを理由に携帯電話を解約されることはありません。
その後の機種変更や新規契約も、一括払いで機器を購入するスタイルなら問題はないでしょう。
ただ、債務整理にはいろいろなパターンがあります。
より詳しい内容を知りたいときは、専門家に相談するのがよい方法です。
債務整理の相談サービスなどを積極的に利用して、疑問点を解消していきましょう。