日々借金の返済に追われ生活が苦しくなっているのであれば、債務整理を検討しましょう。
債務整理の手続きを行うことができれば、借金を軽減し生活を立て直すことが可能です。
しかし債務整理にはメリットと同時にリスクが存在します。
この記事では、債務整理のメリットとリスクを合わせて紹介しています。
しっかりと理解した上で、手続きを進めていきましょう。
債務整理とは、借金を減額したり、支払いに猶予を持たせることで、借金苦から脱出し生活を立て直すための手続きです。
大きく分けると「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つに分けることができます。
また、本来支払う必要がない払い過ぎた利息を取り戻す「過払い金請求」も、お金を取り戻して生活を楽にするという点に注目すれば債務整理の1つと考えることができるでしょう。
債務整理を行うと、借金を軽減するという大きなメリットを享受することができます。
ただしリスクやデメリットがゼロという訳ではありません。
場合によっては、自分だけではなく保証人に迷惑がかかってしまうこともあるため、安易に飛びつかず、しっかりとリスクについて知識を蓄える必要があります。
債務整理のリスクは、それぞれの手続きに共通のものもあれば、手続きの種類によって異なる場合もあります。
メリットだけに注目するのではなく、リスクを比較してよりリスクが小さい選択肢を取るというのも一つの考え方です。
すべての債務整理方法共通のリスクとして、ブラックリストに掲載されてしまうというものがあります。
とはいえ、正確に言うと「ブラックリスト」というファイルが存在する訳ではありません。
信用情報機関に事故情報が登録されることを俗に「ブラックリストに載る」と言っているのです。
事故情報とは、一定期間返済が滞ったり破産したときに登録される情報のことで、登録されるとその人は信用力に難あり、つまり「お金を貸してもちゃんと返してくれない可能性がある」と見なされることになります。
この事故情報には、債務整理も含まれます。
つまり債務整理を行うと「ブラックリストに載る」ことになるのです。
ブラックリストに載ってしまうと、掲載期間である5~10年の間は、新規のローンやクレジットカードの新規作成、キャッシングなどが利用できなくなります。
今使っているクレジットカードも停止されてしまう可能性があります。
任意整理、個人再生、自己破産のどの手続きを選択するにしても、ブラックリストへの掲載は免れません。
また、過払い金請求においても、ケースによってはブラックリストに登録されることがあります。
過払い金請求とは、貸金業者に払い過ぎていた利息を取り戻すための手続きのことです。
本来であれば「利息制限法」で定められた金利よりも高い金利は、払う必要がありません。
つまりそれよりも高い金利でお金を借りていた場合、違法な金利分を計算し、払い過ぎていた分を請求すれば返してもらうことができるのです。
過払い金請求はメリットが大きいですが、反面デメリットも存在します。
どのような点に気を付けるべきか確認しましょう。
過払い金のリスクとしてまず挙げられるのが時効です。
過払い金請求には時効があり、10年経ってしまうと例え過払い金が発生していたとしても請求できなくなってしまいます。
10年の時効がスタートするのは「最後に取引した日」となります。
借金を完済している場合は、取引を終了してから10年が請求できる期間となります。
ここで気を付けたいのが、同じ貸金業者から借金をして、完済してはまた借りる、というサイクルを継続している場合です。
この場合複数の取引が「一連の取引」とみなされるか「別々の取引」と見なされるかはケースによって異なります。
判断の基準は空白期間の長さや契約形態などです。
また、過払い金請求を行う債務者は、貸金業者にとっては面倒な存在です。
そのため過払い金請求を行うことでいわゆる「社内ブラック」に名前が載り、今後その貸金業者を利用できなくなる可能性があります。
過払い金請求最大のメリットは、払い過ぎたお金が戻ってくることです。
借金返済中であれば、戻ってきたお金で債務残高を減らすことができ、返済を楽にすることができます。
また、借金の残高よりも過払い金の方が多ければ、借金を完済して更にお金が手元に残る可能性もあるのです。
借金返済中に過払い金請求を行い、過払い金で借金が完済できない場合、その手続きは任意整理と同じになりブラックリストに載ってしまうことになります。
しかし既に完済している場合はブラックリストに載る心配はないので、安心して手続きを行うことができます。
任意整理とは、債権者と交渉することで債務を減額したり、金利を引き直したり、月々の返済額を減らすことで債務者の負担を減らす手続きのことです。
裁判所を通さないという大きな特徴があります。
この任意整理にはどのようなリスクとメリットがあるのか、詳しく確認してみましょう。
任意整理は、利息や手数料をカットすることで、返済額を減らす手続きです。
つまり任意整理を行っても、借金の元金を減らすことはできません。
そのため、他の方法と比べると借金の大幅な減額は期待できないというリスクがあります。
また、借金の元金が残るため、手続き後も返済義務は残ることになります。
そのため、任意整理を行うためには、一定の安定した収入が絶対条件となります。
任意整理のリスクで忘れてはならないのが、保証人への影響です。
任意整理を行うと、他の方法と同じように保証人に借金返済の請求が行くことになります。
この場合、保証人も債務者と一緒に任意整理を行い、債務者が取り決めに基づいて返済を滞りなく行っていけば、保証人が支払い義務を負うことはありません。
ただし一緒に任意整理を行うとなれば、当然保証人もブラックリストに登録されることになります。
保証人への影響を避けたい場合は、保証人が付いている債務を手続きの対象から外す、という手段を取る必要があります。
借金返済で困っている人は、利息の支払いで困っている場合が大半です。
そのため、利息をカットした分だけ元金が減り、かつ将来利息がなくなることでかなり借金返済を楽にすることができるのです。
その上分割回数を増やして月々の支払額が小さくなれば、より生活が楽になり返済への道筋も見えてきます。
これが任意整理のメリット1つめです。
また、任意整理を開始すると、その時点で業者からの催促がストップし、精神的に余裕を持つことができます。
弁護士や司法書士に依頼すれば最短で止められるので、今すぐ何とかしたいというときは頼るといいでしょう。
任意整理は他の債務整理方法と違い、整理する債務を選択することができます。
保証人が付いている債務を外せば迷惑をかけることもありませんし、自宅や車といた財産を手放す必要もありません。
また、裁判所を通さず債権者との交渉だけで行われるため、個人再生や自己破産と比べると手続きが簡単だというメリットもあります。
個人再生とは、裁判所の許可をもらい、借金を大幅に圧縮し、残りの借金を定められた期間で返済する形に整理する手続きのことです。
利息だけではなく元金も減らすので、任意整理よりも大きな効果を得ることができます。
ではこの個人再生にはどのようなリスクとメリットが存在するのでしょうか。
個人再生を行うと、債務者本人の借金は減額されます。
しかしその分の請求が保証人に対して行われることになり、保証人は借金を肩代わりしなければならなくなるのです。
大きな迷惑がかかるため、個人再生を行う場合は必ず保証人に事情を説明しましょう。
借金は大きく減額されるものの、ゼロになる訳ではないので、残った分を返済するための一定の収入は必要となります。
官報に掲載されるリスクもあります。
個人再生手続きを行うと、国が発行している官報に住所や氏名が載ることになります。
一般に広く読まれているものではありませんが、知人や友人に知られる可能性はゼロではないと理解しておきましょう。
また、個人再生は、任意整理のように整理する債務を選択することができません。
持ち家については特例があるため手放す必要はありませんが、マイカーローンが残っている場合は債権回収のためローン会社が自動車を引き上げてしまい、手元に残りません。
個人再生は任意整理に比べると、大幅に借金を減額することができる手続きです。
原則5分の1、最大で10分の1まで圧縮することが可能です。
この金額を3~5年ほどの返済計画に沿って返済していくため、毎月の負担を大きく減らすことができます。
また、個人再生は借入に至った経緯については特に問われないため、ギャンブルや浪費が原因で作った借金についても手続きを利用することができます。
債務を選択することはできないものの、特例があるので例えローンが残っていても自宅を手放す必要はありません。
財産を強制的に差し押さえられることもないので、ローンの支払いが終わっていれば自動車を手元に残すことができます。
自己破産とは、借金が返せない状態に陥ったことを裁判所に認めてもらい、借金をゼロにする手続きのことです。
返済義務がなくなる非常に効果の大きい手続きです。
メリットが大きい分、リスクも大きくなることに注意しましょう。
個人再生と同様に、自己破産すると保証人に請求が行くことになります。
債務者の借金がゼロになっても、保証人の債務は残るからです。
場合によっては連鎖的に自己破産になることもあり、大きな迷惑がかかります。
また、自己破産の事実は官報に記載されるため、知人や友人に知られる可能性もあります。
自己破産をすると、就ける職業に制限が加えられることになります。
弁護士や公認会計士といった士業をはじめ、警備関係の仕事にも就くことができなくなるため注意が必要です。
自己破産で最も大きなリスクと言われているのが、財産を手放さなければならないということです。
時価20万円以上の財産は、生活に必要最低限の物を除いて全て手放さなければなりません。
持ち家や車はもちろん、預貯金も対象となります。
一緒暮らしている家族がいれば、自宅差し押さえによって大きな影響を与えることになるでしょう。
個人再生とことなり、自己破産はそこに至った経緯を問われることになります。
ギャンブルや浪費、株やFXなどによってできた借金は、自己破産でゼロにすることは原則できません。
しかし誠実な態度で手続きに臨むことで、裁判官の裁量免責によって自己破産が認められることもあります。
自己破産は借金が完全になくなるため、手続き後は借金の悩みから解放されまっさらな気持ちで再スタートを切ることができます。
免除される債務残高に上限はありません。
任意整理や個人再生とは異なり返済義務は残らないため、安定した収入がない無職や無収入の人でも手続きを行うことが可能です。
また、財産の全てを失う訳ではないこともメリットと言えるでしょう。
生活に必要な財産は残すことができますし、時価20万円以下であれば自動車などもそのまま持ち続けることもできます。
債務整理にはいろいろなリスクが存在します。
しかし日々借金に追われまともな生活が送れない、という状態に既に陥っているのなら、そうしたリスクよりも借金を軽減できるというメリットの方が大きいでしょう。
保証人への迷惑を避けたいばかりに債務整理を回避しようとする人も多いですが、自分の生活の心配もするべきです。
真摯な態度で相談、謝罪を行い、自分に合った手続きを進めていきましょう。