昨今、さまざまな場面でオンライン申請が行えるようになりました。
たとえば確定申告や商業・法人登記、成年後見登記、供託……そして、不動産登記にもオンライン申請のシステムが整えられました。
相続に関わる登記についても、もちろんオンライン申請を行うことが可能です。
特に相続登記の場合、遠方の家族の所有していた土地の申請を行う必要があるため、距離的な問題も生じてきます。
また、日中に仕事をしている場合は、登記所の窓口に出向くために休みを取らなければならないということもあり、時間的にも難しいということがあるでしょう。
専門家に委託してしまう場合には問題ありません。
しかし、自分で申請をしたい場合には、これらは大きな問題となってくることでしょう。
そういった場合、オンライン申請は大きな力となってくれます。
事前に準備すべき事柄はありますが、それをクリアしてしまえば資料の作成はある程度簡単に行えるようになるはずです。
しかし、オンライン申請には書面での申請とは異なる注意点も存在しています。
この記事では、オンライン申請の仕方や注意するべき点などについて解説していきます。
まずは、大まかな手順を確認していきましょう。
オンライン申請の手順は、下記の通りです。
では、上記の手順ひとつひとつについて見ていきます。
相続登記の流れとは?
遺産相続により土地家屋を受け継いだ場合、その土地家屋の所有者として登記を行う必要があります。この相続登記には非常に多くの書類を収集する必要があり多くの時間がかかることもあります。まずは相続登記の流れや準備すべき書類についてしっかりと確認していきましょう。
オンライン申請を行うために、まずは申請環境を整える必要があります。
必要となる下記の環境がそろっているかを確認しましょう。
上記3点がそろっていれば申請が行えますが、それ以外に書面をPDFデータ化して添付情報にする場合などには、PDF変換ソフトやスキャナが必要になる場合もありますので、適宜ご用意ください。
登記・供託オンライン申請システムの申請用総合ソフトは、下記のページよりダウンロード可能です。
参照登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと・供託ねっと
ダウンロード(ソフトウェア・操作手引書)>ソフトウェアのダウンロード
なお、操作手引書についても同時にダウンロードできますので、合わせてダウンロードしておくと便利です。
ダウンロードページよりソフトウェアをダウンロードできましたら、解凍・インストールを行ってください。
相続登記で生前に知っておいたほうがいいことは?
『終活』という言葉もよく聞かれるようになりました。「人生の終わりを前に、伝えるべきことをあらかじめ準備しておく」という活動で、遺産相続に関することも多くあります。所有者不明土地問題に関連し、相続登記の義務化も決まっています。まずはどんなことをすればよいか、確認していきましょう。
ソフトウェアのインストールが完了したら、次は申請情報・添付情報を作成します。
ソフトウェアを起動し、「申請書作成・編集」画面を表示し、画面内のガイドに従って必要事項を入力していきます。
また、添付書面については紙で提出する必要があります。
その際、提出する土地がある地域の登記所に持参するか、郵送するかを選ぶことができます。
郵送の場合は必ず書留郵便かレターパックプラスを使用しなければなりません。
※レターパックライトは使用できませんのでご注意ください。
申請の際には下記の書類を添付します。
また、申請情報の入力の際にも参照する必要があるため、事前に準備するようにしましょう。
提出時に添付する必要のある書類
・戸籍(戸籍全部事項証明書・改製原戸籍・除籍謄本)
・相続関係説明図 ※戸籍を元に作成・自作または専門家に依頼
・遺産分割協議書 ※自作または専門家に依頼
・住民票
・住民業の除票又は戸籍の附票
・印鑑証明書
・代理権限証書 ※司法書士に登記申請を依頼する場合。自作の場合は不要
申請書作成にあたって参照する書類
・固定資産税評価証明書
・登記簿謄本
申請情報はガイドに従って入力すれば問題ありません。
また、入力の際には準備した必要書類を適宜参照し、記載の通りに転記してください。
ただしその際、いくつか注意点があります。
添付情報を書面で登記所に提出する場合、その旨を下記の通り記載します。
「登記原因証明情報(特例)
住所証明情報(省略)」
なお、申請の段階で添付書面を登記所に持参するか、書留郵便等で送付するか決まっている場合には、「(特例)」の部分を「(持参)」または「(送付)」と記載します。
いずれにしても「特例」と記載されていれば問題ありませんので、確定していない場合は「特例」と記載すれば問題ありません。
入力の際には「オンライン物件検索」の「物件情報取得」をクリックすることで簡単に検索することができます。
なお、直接入力することも可能ですが、地番はハイフンを使用して記載しなければならないため注意が必要です。
例:〇1―23
×1番23号
「送付の方法による登記識別情報通知書の交付を希望する」又は
「登記所における登記識別情報通知書の交付を希望する」のいずれかを選択します。
※これを選択しなければ書面による通知書を交付してもらうことができません。
他の手続にも必要になることがありますので、必ず紙でもらっておきましょう。
送付先は「申請人の住所」となるように記載する。
※登録識別情報の通知書と添付書面の返却に必要となるためレターパックプラス又は書留郵便用の封筒(必要な金額の切手を貼付したもの)を購入し、添付書類と共に送付または提出する。
添付情報のうち「登記原因証明情報(相続関係説明図)」のみスキャナで読み取った情報をPDFファイルに変換し、申請情報に添付する必要があります。
電子で送付する添付情報はこれのみで、他の書類に関しては持参もしくは郵送で登記所に提出します。
オンライン申請を行った場合には、補正や取り下げに関してもすべてオンラインで行う必要があります。
補正の連絡を受けた際には、必ずオンラインで行うようにしましょう。
相続登記の必要書類は? 遺言があると少ない? 集め方のポイント
相続登記の必要な書類は「相続不動産に関する書類」「被相続人に関する書類」「相続人に関する書類」に大別されます。 けっこうな数の書類を集めるので、誰の書類をどこで申請し、どう取得すればスムーズかを説明します。 漏れがあると手続きは完了できないので、必要書類と申請先、申請方法についてしっかり押さえましょう。
申請書の作成が完了したら、いよいよ送信します。
ソフトウェアの「署名付与」をクリックし「ICカードで署名」を選択後、「ICカード差し込み確認」画面が表示されたらカードリーダへ電子証明書入りのマイナンバーカードを差し込み、「OK」のボタンをクリックします。
電子署名の付与が完了した後、「申請データ送信」を行い「申請情報を送信します。
よろしいですか?」という送信情報の確認が出たら「OK」のボタンをクリックし、送信を完了します。
登録免許税の送付の方法は2種類あります。
相続登記に関係する「期限」の有無について
相続登記申請に限りませんが、様々な申請を行う場合、いつまでに完了させなければならないのか、その期限の有無について気になっている方は多いと思います。 申請が期限内に完了しないと不利益を被ったり、過料や罰金を取られるというケースも存在します。
「登記原因証明情報(相続関係説明図)」以外の添付書類について、オンライン申請の送付後に郵送又は持参する必要があります。
受付から初日・休日等を除き2日以内に送付又は持参しなければならないため、忘れずに送るようにしましょう。
相続登記を自分でするメリット・デメリットとは?申請の流れも解説
相続が発生し、土地や建物を遺産として引き継ぐ場合、不動産の名義変更を行う必要があります。これを「相続登記」といい、基本的には司法書士に依頼して対応しますが、自分でも行うことが可能です。 この記事では、現役の司法書士が相続登記を自分でするメリット・デメリットや申請の流れを解説します。
「登記原因証明情報」について、もう少し丁寧に確認していきましょう。
相続登記オンライン申請の登記原因証明情報とは、被相続人の戸籍・除籍・改製原戸籍、相続人の戸籍、被相続人の住民票の除票、遺産分割協議書、印鑑証明書、その他、相続関係説明図、法廷相続情報一覧図の写し、相続放棄申請申述受理証明書、特別受益証明書等が該当します。
これらの書類はすべてが必要となるわけではなく、事実により要不要が分かれてくるため、まずは自身の相続の内容と照らし合わせ、確認しましょう。
また、いくつかの書類について解説します。
被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍全部事項証明書、改製原戸籍謄本、除籍謄本が必要となります。
なお、相続関係説明図を添付すれば、原本をコピーしなくてもこれらの書類が返ってきます。
相続人の現在戸籍は、被相続人と異なり、出生から死亡に至るまでの分は不要で、直近の戸籍全部事項証明書で足ります。
法定相続の場合は不要です。
遺産分割協議により、特定の相続人に相続財産である不動産を取得させる場合に必要となり、実務上はこちらでやる方が多いです。
この場合、遺産分割協議書には実印が必要となり、印鑑証明書の添付も必要となります。
印鑑証明書の有効期限はないため、内容さえ変わっていなければ、いつ取得したものでも問題ありません。
「相続登記申請書」のノウハウを完全公開
遺産相続に伴い、必ずといっていいほど発生するのが不動産登記の書き換え。 ここでは、現役の司法書士が、遺産相続に関わる「相続登記申請書」の記載方法、各種ポイント、綴り方等、自分で相続登記を申請する場合のノウハウをわかりやすく説明いたします。
相続登記オンライン申請では、PDFで添付する必要がある書類があります。
オンライン申請の際、PDFに変換し送付する必要があります。
その際、電子署名は不要です。
また、電子申請を行った上で、紙による申請書の提出も必要となるため注意しましょう。
この書類に関しては、PDFでの送付の必要はありません。
紙で申請書を送付しますが、原本還付が必要な際はコピーを提出する必要があるため注意しましょう。
この書類は全ての場合に当てはまるわけではありません。
特別受益者が存在する場合は「特別受益証明書」、相続放棄の申請を行った場合は「相続放棄申述受理証明書」が必要となります。
これらの書類に関してはPDFで送付する必要はありません。
この書類に関しては、PDFでの添付は不要となります。
なお、提出する際、その不動産を相続する人全員の住所証明書が必要です。
また、住民票コードを提供すれば住所証明情報の提供が不要となるため、そちらで代用することも可能です。
住民票コードとは、それぞれに割り振られた11桁の数字のことをいいます。
原本還付が必要な際はコピーを提出する必要があるため注意しましょう。
不動産における相続登記とは?必要書類や手順についてご紹介!
不動産の名義変更は大変、書類を用意したり税金を納めたり、簡単に済むものではありません。所有者が亡くなり相続のために名義変更をするのも精神的疲労も重なることでしょう。いざというときの相続登記に備えて、概要や手続きの手順、必要な書類ついて説明。
最近「法定相続証明情報一覧図の写し」が話題となっています。
これを、全ての申請を行う前にあらかじめ作っておくことで、下記のようなメリットがあります。
相続登記申請時、戸籍謄本等他の手続にも使用する書類を添付しなければならないため、これらの書類が一時的に手元から離れてしまいます。
この法定相続証明情報一覧図の写しを事前に取得しておくと、相続登記申請時にもこの書面が戸籍謄本等の代わりに使えるため、同時並行で銀行等他の手続でも戸籍謄本等が使用できるというメリットがあります。
無料で複製ができる書類のため、数カ所の登記所にも同時に申請することができるようになります。
ただし複製できるのは「戸籍謄本」のみになるため、それ以外の遺産分割協議書や印鑑証明書など、各登記所に送付しなければいけない戸籍以外の書類は複数必要となるため注意が必要です。
相続登記の登録免許税と具体的事例
不動産の所有権の移転の登記に関する税は、大きく4つに分類されます。これらの税率は、実はかつては現在よりも高く設定されていましたが、土地を取得する際の税率が軽減され、また不動産登記に係る登録免許税の税率を簡素化するという法改正が行われました。具体的な計算方法など詳しく解説します。
このように、オンライン申請には注意事項もありますが、基本的には書面での申請と同様に行うことができます。
むしろ時間や場所に縛られることが少なくなるため、現代の生活に合っているともいえるでしょう。
この機会に是非オンライン申請の環境を構築し、活用してみてください。
相続登記はおはやめに!メリット・手続きの流れ・費用を解説
故人の葬儀も済んで、遺産分割も無事終了。これで一安心、と思うのははや過ぎます。なぜなら、財産分与が終わっても登記しないと権利の確定とはいかないからです。相続が発生すれば忘れず不動産の名義変更をしましょう。今回は、相続登記の情報を、財産分与の方法や注意点を交えながらお伝えします。