モビットは消費者金融の中でも大手企業であり、安心して利用している人も多いでしょう。
しかし油断してお金を借りすぎると後々返済で苦しい思いをする事になってしまいます。
どうしても完済が難しいという状況になってしまった場合には「債務整理」と呼ばれる手続きを視野に入れる事も大切です。
今回はモビットからの借金を減額出来る「任意整理」「個人再生」「自己破産」という3つの債務整理についてご紹介します。
任意整理とは債権者と債務者の間で返済計画についての話し合いを行う債務整理の方法です。
和解交渉では主に「将来利息のカット」と「債務者にとって無理のない返済計画」の2つが焦点になります。
債務者が独力で手続きを進める事も可能ですが、弁護士や司法書士など法律の専門家に依頼してモビットと交渉するのが一般的と言えるでしょう。
依頼した場合は専門家が代理人となって全ての交渉や手続きを代行してくれるので、債務者がモビットと直接やり取りする必要はありません。
任意整理のポイントのひとつは、債務整理する債権者を選ぶ事が出来るという事です。
例えば自動車ローンや住宅ローンなど債務整理にかけると商品が差し押さえられてしまう借金を手続き対象から除外する事が出来ます。
つまり車や住宅といった財産を守りながら債務整理が可能なのです。
また、保証人付きの借金は債務整理する事で保証人になってくれた人に迷惑をかけてしまう可能性がありますが、任意整理であれば除外しておけば問題ありません。
任意整理は多重債務を抱える人でも、モビットの借金だけを債務整理出来る方法と言えます。
なお、任意整理においては借金を抱えてしまった理由を問われる事はありません。
ギャンブルやショッピングなどによる浪費で出来てしまった借金でも返済総額を減らしてもらう事が可能です。
任意整理を行うと各信用情報機関で管理されている個人信用情報に金融事故の履歴が残り、いわゆるブラックリストに載ってしまう事になります。
これは任意整理に限らず、全ての債務整理に共通するデメリットです。
ブラックリスト状態になってしまう期間は手続きの種類によって異なります。
任意整理の場合は手続き後に借金を完済してから5年間はブラックリスト状態であると考えておきましょう。
ブラックリストに載っている間は新しくローンを組んだりクレジットカードを発行したりする事が出来なくなります。
原則的にモビット以外の消費者金融からも融資を受けられなくなるので注意しましょう。
任意整理では債務にかけられる利息をカットする事が主な目的であり、借金の本体である元本を減額してもらう事はほぼ期待出来ません。
したがって任意整理の後でもそれなりに借金が残り、その借金を無理のない返済計画で毎月支払っていく事になります。
返済総額を少なくする事は出来ますが、手続き後に支払いを継続するための安定した収入が必要になる点に注意しましょう。
また、万が一任意整理の手続き後の支払いを滞納してしまうとモビットに訴訟を起こされ、残債の一括返済を請求されてしまう可能性があります。
任意整理には安定した収入と、支払いを継続していくという強い意志を持っておく事が重要です。
個人再生(民事再生ともいう)とは裁判所に対して申し立てを行い、元本を含めて借金を大幅に減額してもらうための債務整理です。
借金の返済プランを示した再生計画書を裁判所に提出し、認可が下りるとその計画に沿って3~5年での完済を目指します。
個人再生では元本を大幅に減額する事が主な目的であり、お金を貸し付けたモビット側への負担も大きい手続きです。
したがって個人再生の後に支払いを継続出来る見込みがある場合のみ、個人再生の認可が下ります。
個人再生の大きなメリットは、借金の元本を大幅に減額してもらえるという点です。
個人再生では一般的に債務を概ね5分の1まで圧縮する事が可能であり、手続き後の返済が楽になります。
抱えていた借金の額が大きい場合は特に効果が実感出来るでしょう。
ただし個人再生で債務整理出来る金額は上限が5000万円と定められているので注意が必要です。
なお、個人再生で債務者が支払うべき残債を「最低弁済額」と呼びます。
最低弁済額は個人再生にかける債務の額によって異なるので、専門家へ相談するなどしてよく確認しておきましょう。
個人再生は家や車といった財産を手放さずに手続きをとる事が出来るというのもメリットです。
個人再生では原則的に債務者が抱えている借金(ローンを含む)全てが債務整理の対象となります。
住宅ローンでは途中で契約を打ち切ると住宅は没収されてしまうのが通例です。
しかし個人再生では住宅ローン特則(住宅資金貸付債権に関する特則)という制度を利用する事で、住宅ローンを債務整理の対象から外す事が出来ます。
ただし、車のローンが残っている場合には注意が必要です。
個人再生を行うと、ローン会社との契約内容によってはローン返済中の車が引き上げられてしまう可能性があります。
必ずしも引き上げられてしまう訳ではないので、個人再生を行う前にローン会社に事情を相談しておく事が重要です。
なお、個人再生の手続き後は基本的に債権者が債務者の給与や資産を差し押さえる事が出来なくなるので安心しましょう。
個人再生も他の債務整理同様、手続き後はしばらく個人信用情報がブラックリスト状態になってしまいます。
個人再生の場合は任意整理よりもおおがかりな債務整理になるので最低でも5年間、長い場合だと10年間程度ブラックリスト状態が続いてしまうでしょう。
また、個人再生は元本の大幅な減額が可能ですが、残った債務は任意整理同様返済していく必要があります。
個人再生は任意整理よりも比較的債務額の大きい案件で利用される手続きです。
そのため、手続き後の支払い能力に関する審査は入念に行われます。
個人再生では手続きが終わると「官報」と呼ばれる政府発行の機関誌に住所や氏名が掲載されます。
聞きなれない名前かも知れませんが、一般の人にも公開されているので誰でも閲覧可能な機関誌です。
少しでも債務整理の事実が周囲に悟られる可能性を低くしておきたい人にとってはデメリットであると言えるでしょう。
また、モビット以外の金融業者(とりわけ違法性の高い業者)から営業の電話がかかってくる可能性も否めません。
債務整理の最終手段とも言うべき方法が自己破産です。
債務整理と聞くと自己破産の事を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
それはこの手続きが持つ絶大な効果とリスク故と言えます。
自己破産ではどれほど大きな額の借金でも、裁判所への申し出が認可されれば返済の義務がなくなり帳消しにする事が可能です。
借金返済の目処が立たず、任意整理や個人再生で債務を減額しても完済が難しい場合に利用されます。
自己破産はほぼ全ての債務を対象として、その借金を帳消しにする事が出来ます。
ただし税金・年金・公共料金といった公的な支払いの滞納分は対象外なので注意しましょう。
借金を帳消しにする事で取り立ての電話や手紙に追われなくなるので、精神的に落ち着いた日常を取り戻せます。
債権者の強制執行による給与や資産の差し押さえも防ぐ事が可能です。
自己破産と聞くと「全ての財産を失う」とイメージする人も多いのではないでしょうか。
しかし実際には99万円までの現金や資産価値20万円以下でなおかつ生活に最低限必要な家財などは、自由財産として手元に残す事が出来ます。
借金を帳消しにしてもらった後も、可能な限り破産者の生活を保障する仕組みが設けられているのです。
自己破産も債務整理の一種なので、例外なく個人信用情報には金融事故として記録が残ります。
ブラックリスト状態の期間は個人再生と同じく5年~10年間と見ておきましょう。
住所や氏名が官報に公告されてしまうという点も個人再生と共通のリスクです。
また、自己破産では借金を帳消しにする代わりに、20万円以上の価値を持つ家財・財産は処分されて債務の補填に充てられます。
車や住宅なども対象になるので、所有している場合は生活に直接的な影響を及ぼすでしょう。
なお、こうした財産の処分が発生する自己破産を「管財事件」、処分出来る財産が無い場合は「同時廃止事件」という手続きになります。
連帯保証人付きの借金を自己破産する場合は注意が必要です。
この場合、破産者の財産を処分した後すぐに破産手続きに進む訳ではありません。
財産処分で充当出来なかった残債の請求が連帯保証人に及ぶ事になります。
連帯保証人が残債を返済出来なければ、連帯保証人も債務整理をしなければならない状況に陥り兼ねません。
知人同士でのトラブルを避けるためにも、自己破産前には連帯保証人とよく話し合う事が重要です。
また、自己破産した債務者は今後、弁護士・司法書士・税理士といった一定の職に就く事が許されなくなります。
ただしこの職業制限は一生続くものではなく、破産手続きが終了すれば復権する場合が多いです。
状況によって復権までの期間は様々ですが早ければ半年、特別な事由によって復権が難しい場合は10年程度職業制限を受ける事になります。
自己破産は絶大な効力を誇る債務整理ですが、その効果の代償として多くのリスクを伴うのです。
債務整理の種類や特徴を押さえたところで、実際にモビットからの借金を債務整理するために必要な書類準備や手続きの流れを把握しておきましょう。
前もって予備知識を備えておくだけでも、不安は和らぐものです。
モビットからの借金を債務整理するには、まず弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談するのがおすすめです。
債務整理の中には独力で手続きを進める事の出来るものもありますが、専門家の力を借りた方が効率的に問題を解決出来ます。
まずは自分の状況に適した債務整理はどれなのかを専門家に判断してもらうと良いでしょう。
司法書士は債務整理において書類作成代行が主な管轄であり、裁判にもつれた際は簡易裁判所までしか債務者の代理人になれない点には注意が必要です。
また、司法書士が対応出来る債務整理は債権者1社あたりの上限が140万円未満と定められています。
モビットからの債務額が大きい、または手続きや訴訟代理人などを全て任せたい場合は弁護士に依頼しましょう。
ただしそれぞれの弁護士・司法書士で専門分野が異なるので、債務問題解決に強い法律事務所に依頼する事が重要です。
債務整理において必要となる書類は手続きの種類によって異なりますが、一般的には「本人確認書類」「印鑑」「借入先(モビット)のカード」「預金通帳」「住民票」「債権者一覧表」「収入証明書」などは共通して提出を求められる事が多いです。
債権者一覧表は相談先の法律事務所で用意されている事も多いので、記入を求められたらすぐに書けるように債務状況を把握しておきましょう。
個人再生や自己破産を行う際、生命保険に加入している場合には生命保険証券が必要になる場合もあります。
個人再生と自己破産は裁判所を通して行う手続きなので、申立書や陳述書を準備する必要がある点にも留意しておきましょう。
不動産を所有しているならば不動産登記簿謄本や権利書を前もって用意しておくと安心です。
専門家に相談して方針がまとまったら、いよいよ実際に手続きを開始する運びとなります。
まずは依頼先の専門家と委任契約を結び、受任通知と呼ばれる書類をモビットに送付してもらいましょう。
この受任通知は「弁護士(もしくは司法書士)が債務者の代理人となった」という事実を表明するもので、債権者(モビット)が債務者と直接連絡を取る事が出来なくなります。
つまりこの段階でモビットからの督促や取り立てがストップするのです。
受任通知を送付して正式に手続きを開始した専門家は、まずモビットに対して取引履歴の開示請求を行います。
送付された取引履歴を参照しながら利息制限法に基づいた利息の引き直し計算を行い、正確な借金の額を割り出すのです。
本来払う必要のなかった利息が判明すれば、過払い金請求の手続きをとる事も出来ます。
任意整理の場合は基本的に和解交渉へ進み、和解が難しい場合には裁判を起こすのが通例です。
個人再生・自己破産の場合は直接裁判所へ申し立てを行い、手続きの認可を待つ事になります。
一口に債務整理といっても、その種類やメリット・デメリットは様々です。
モビットへの返済が苦しい場合には、事態が悪化してしまう前に弁護士や司法書士に相談してみましょう。
また、モビットは消費者金融の中でも大手であり比較的経営が安定しています。
債務額がさほど大きくなければ任意整理での解決にも応じてくれる可能性が高いです。
どの債務整理方法を行うにせよ、専門家を通じて効率的に手続きを進めましょう。