借金があると、その返済が大きな負担となります。
もしもそれがなくなれば身も心もすっきりし、安心して過ごすことが出来ます。
その借金の返済に苦しんでいる人にとって、救済策となるのが「債務整理」です。
手続きをすれば、借金の減額や返済期限を延ばしたりしてもらえる可能性があります。
ここでは債務整理の種類や、それぞれの手続きの仕方を解説します。
債務整理にはいくつかの種類があります。
その方法によって手続きの仕方等にも違いがあるのです。
ここでは主に債務整理の種類と、手続きの仕方を詳しく説明します。
債務整理の経験がない人の場合には、一体何から始めたら良いのか分からない事が多いかもしれません。
まず債務整理を行う場合には、弁護士や司法書士に法律相談をするところからスタートします。
そのためには相談を依頼する弁護士、または司法書士を選ぶところから始めてみるとよいでしょう。
そして依頼をする弁護士等が正式に決まったら着手金を支払います。
次の段階として依頼を受けた弁護士等が、債権者へ「受任通知」というものを送ります。
受任通知を債権者に送ることによって、借金の返済はいったんストップすることになります。
そして次に、債務整理の種類を決定する段階に入ります。
そのために引き直し計算をして、借金の総額がどのくらい減額できるのか検討する作業を行います。
それにより、最適な債務整理の方法を選ぶことが出来るのです。
その際の基準の一つとして、借金を3年以内に返済出来るかどうかということを目安にして種類を選ぶようにします。
債務整理の種類は主に4つあります。
一つ目は「任意整理」です。
この方法は債権者との話し合いによって、借金の利息をなくしてもらったり、返済期間を延長してもらうようにする手続きのことです。
二つ目は「特定調停」です。
これは簡易裁判所の調停手続きにより、借入先と返済方法を話し合うことです。
調停が成立した場合には、調停調書に基づいて返済を実行していくことになります。
三つ目は「個人再生」です。
個人再生とは、裁判所にそれを申し立てることで、借金を大幅に減額してもらう手続きを取ることが出来ます。
これは借金の金額が大きい人には向いている方法と言えるでしょう。
そして四つ目は「自己破産」です。
自己破産を裁判所に申し立てることによって、借金をゼロにしてもらう手続きを取る事が出来ます。
この方法は個人再生と同様に、借金額が大きい人の場合には適しているかもしれません。
しかし個人再生と違う所は、借金を完全になくす事が出来るという点です。
このように債務整理には4つの方法があります。
借金の金額等により選ぶ種類も異なりますが、それぞれメリットとデメリットが存在しています。
ここではまず、任意整理を選択した場合の方法やメリット、デメリット等を紹介します。
4つの債務整理の方法の中でも、一番多く利用されているのが任意整理と言われます。
まず任意整理を選択した場合には、依頼をした弁護士等から法律相談を通して、任意整理の手続方法やメリット、デメリットの説明を受けることになります。
そして正式に依頼をした後に、受任通知によって債務者からの取立がいったん停止し、債権者との和解交渉に入ります。
和解契約を締結した後には、和解書に記載された返済方法で、借金の返済を開始することになるのです。
任意整理のメリットとして挙げられるのは、まず利息がなくなり返済が楽になるということです。
借金が完全になくなるわけではありませんが、利息分が消滅するだけでも返済に余裕が生まれるほか、完済を早めることにも繋がっていきます。
他にも、別の債務整理に比べて手続きが簡単であるということがあります。
個人再生や自己破産では、裁判所に出す書類を作成するなどの手間が掛かりますが、任意整理の場合にはそれらの書類を用意する必要がありません。
逆にデメリットとしては、任意整理をすると信用情報機関に登録されることになるということです。
そうなった場合、任意整理後「5年間」は新たな借入が出来なくなる、いわゆる「ブラックリスト入り」になってしまいます。
その他にも、自己破産や個人再生などに比べると任意整理では、借金の総額を一気に減らす事が出来ないということなどもあります。
次に紹介するのが「特定調停」です。
ここでは、その方法とメリットとデメリット等も含めて紹介します。
特定調停を選択した場合には、まず債務者が「申し立て書類」を作成し、簡易裁判所へ申し立てることになります。
ただし申し立てを行う裁判所は、債権者の所在する場所を管轄している簡易裁判所でするようにします。
その後、裁判所によって調停委員が選任されることになり、申し立て人と調停委員の調査期日が設定され、返済計画案を作成する作業に入ります。
さらに各債権者と調停委員による調停期日が設定され、返済計画案に基づいた返済計画が調整されるのです。
この際、各債権者が返済計画に同意した場合には、調停調書が作られることになりますが、仮に債権者から返済計画に異議が出された場合には、特定調停は成立させることが出来なくなってしまいます。
したがってそうなった場合には、他の債務整理を検討せざるを得なくなります。
特定調停のメリットは、任意整理と同様に借金の返済額を減らせる可能性があるということです。
他にも、どの債権者と合意をするか選ぶことができるという点もあります。
例えば、特定調停をしても所有する自動車や家を持ち続けたい場合には、住宅ローンを借りている銀行や、自動車のローンを除外して、特定調停をすることも出来るのです。
反対にデメリットは、その手続きが煩雑であるということです。
特定調停をする場合には、各種書類を準備したり作成する必要があるのです。
その為に、時間を取られるという事が考えられます。
他にも前述のとおり、債権者の同意を得られない場合には、特定調停が成立しないこともあります。
それ以外にも、すべての手続きを債務者本人が行わなければならないということもあり、煩わしいことが苦手な人にとって、この方法は若干苦痛に感じることがあるかもしれません。
個人再生では、借金を大きく削減させることも出来ます。
しかし、この方法にもメリットとデメリットがあります。
この章では個人再生の手続きの方法等も含めて紹介します。
この方法を採った場合には「個人再生申立書」を作成し、地方裁判所へ申し立てることになります。
その申し立ての後、2から3カ月程度にわたって「家計収支表」を作成し、一定額を通帳に積み立てる作業をします。
この家計収支表と通帳はその後、再生計画のための判断材料として使用されることになるのです。
この再生計画案や家計収支表、通帳の写しを裁判所へ提出し、再生計画案が認められると手続きが完了になります。
そして、その計画案に基づいて返済を開始することになるのです。
個人再生のメリットは、借金を大幅に減らせることです。
この方法を採ると、債務が原則で5分の1まで減らせるために、その後の返済が大変楽になります。
さらに所有する住宅や車などの資産を保有し続けられることも魅力的です。
逆にデメリットは任意整理の場合と同じく、信用情報機関に登録されるため、5年以上借金ができなくなるという事があります。
そして重要な事として、個人再生においては債務の返済を行い続けることが出来るという前提が必要です。
その為に返済能力がない場合には、再生計画が認められないという事になってしまいます。
そして債務整理の四つ目の方法は「自己破産」です。
四つある手続きの中でも究極の方法である自己破産ですが、この方法にもメリットとデメリットがあります。
自己破産では、2種類の手続き方法があります。
どちらの手続きを選択するかは、借金や資産の状況により異なります。
まず一つ目は「同時廃止」です。
同時廃止とは、申立人に高額な資産がなく、免責手続きだけを行うことをそう呼びます。
そしてもう一つは「少額管財」です。
これは、申立人に資産が現金で33万円以上、価値が20万円以上の資産などがある場合には、破産管財人が財産や免責不許可事由があるかどうか調査する手続きを行います。
そして、自己破産の手続きの仕方は以下の通りです。
まず、自己破産に必要な書類を準備します。
そして「自己破産申立書」を作成し、地方裁判所へ申し立てを行います。
その後裁判所から免責決定が確定された場合のみ、借金の返済が免除になります。
この免責はすべての人に認められるわけではありません。
この手続きでは、なぜ自己破産を申請することになったのか、その理由もきちんと調査されます。
そのために例えば、ギャンブル等で浪費をして返済が不能になった場合などは、免責が認められる可能性は低いと考えられます。
その他にも自己破産申請の際に、裁判所に嘘の説明等をしたりすると免責が認められなくなることもあります。
自己破産の最大のメリットは他の債務整理の方法と違い、借金がゼロになるという事です。
ただしこれは前述したとおり、免責が認められた場合のみ有効になります。
そして借金が完全になくなるために、債権者が給料の差し押さえなどの強制執行も出来なくなってしまいます。
このように借金をチャラに出来る自己破産ですが、数々のデメリットもあります。
まずは財産が処分されてしまうということです。
個人再生では、車や家は残すことも可能です。
しかし自己破産では借金はなくなりますが、所有している不動産や動産等は処分されることになります。
そして自己破産の場合でも、信用情報機関に登録されることになり、5年以上借入が出来なくなります。
なお、借入だけではなくクレジットカードを作る事や、利用も制限されてしまうのです。
それ以外であれば、警備員などの一部の職種に就けなくなるというデメリットがあります。
警備員以外でも、弁護士や司法書士などのいわゆる「士業」などの職業も就けなくなるので注意が必要です。
このように債務整理には4つの方法があり、それぞれ手続きの仕方が異なります。
借金の金額や債務者の置かれている色々な状況によって、選択する方法は変わっていきます。
もしも債務整理をしようと考えている場合には、自分一人で思い悩むことは良くありません。
どの手続きを選択するのかも含めて、まずは専門家へ相談をして適切な方法を見つけるようにしましょう。